予防医学の重要性が叫ばれる今日、私たち指圧師が提供する指圧療法への注目が集まっている。西洋医学的治療だけでは、患者のQOL(生活・生命の質)を維持することが難しい状況になっていることは間違いない。
超高齢社会を迎えた日本だけではなく海外においても、今後指圧療法は無くてはならない治療技術となっていくであろう。
しかしながら、指圧療法はその効果機序を説明することが困難であるため、現段階においてはあまりエビデンスが蓄積されていないのが現状である。また、日本においては資格制度の曖昧さから様々な手技療法が混在し、指圧療法が正しく認識されていない現状がある。
このような現状を打開すべく日本指圧学会は、エビデンスの集積を通じて「あんま マッサージ指圧師」の国家資格をもつ施術者を中心に、EBM(根拠に基づく医療) としての指圧療法を確立していく所存である。
令和7年度 冬季学術講習会・実技講習会が開催されました。
令和7年12月7日(日)に、日本指圧学会 冬季学術講習会・実技講習会が開催されました。
午前の学術講習会は計4題が発表されました。いずれも日々の臨床で遭遇する可能性が高いテーマで、活発な質疑応答が交わされました。また、治療結果の統計的な検討やAIを活用した症例報告内容の精査など、今までの本学会にはなかったテーマが組み込まれたものもあり、多くの参加者の興味を引きました。

瀧本正弘「頚椎症・頚椎ヘルニアに対する指圧療法の臨床的検討ーアキバ手あて治療院における症例統計ー」

小川敬子「高齢者の入退院後に起こる歩行困難の改善」

酒見健太郎「足関節内反捻挫に対する指圧療法の一症例」

宮下雅俊「PTSDと診断された交通事故外傷後の持続的動悸に対する指圧療法の臨床的検討ー一回の施術による改善と自己指圧指導の効果ー」
午後には実技講習会が行われました。今回は在校生が少なく、参加者の多くが臨床現場で実務を行っている方たちだったため、より実践的な内容の講習が行われたように思います。

井上寿男「腹部指圧で副交感神経優位に、自律神経を整える。皮膚操作で運動パフォーマンスを上げる。」

高野哲彦「股関節痛(腸腰筋停止部の痛み)の治療法 ※変形性股関節症含む」
次回開催は2027年7月を予定しております。詳細が決まりましたら再度お知らせします。

