去る平成27年3月22日(日)に、日本指圧学会 総会・春季学術講習会・実技講習会が開催されました。
まだ寒さも残る中、多くの参加者にお越しいただきました。
・「症例報告 指圧治療による姿勢矯正」
・「足底部への指圧刺激が重心動揺に与える影響について」
午前中の学術発表では、新倉玄太 先生による症例報告「指圧治療による姿勢矯正」と、星野喬一 先生、日比宗孝 先生による「足底部への指圧刺激が重心動揺に与える影響について」の研究発表が行われました。
新倉 先生の症例報告では、治療の効果をより持続的なものとするための模索から見えてきた手法を、実症例と共に報告いただきました。
押圧操作と運動操作の相互を応用し、軟部組織と骨、関節のアライメントに並行してアプローチする方法論に対して、先生のデモンストレーションも交えつつ活発な質疑応答が持たれました。
星野 先生、日比 先生の研究発表では、足底部への指圧が身体のバランス機能に及ぼす影響を、重心動揺計を用いた計測により検討した結果を報告いただきました。
第一報ということで研究の中間報告ではありましたが、身体バランスに関しては参加者からの関心も高く、研究に対してのアドバイスなども含め、質疑応答では様々な意見が寄せられました。
第1講座:「身体重心のコントロールとファシリテーションを患者様と楽しむ方法とは?」
~在宅領域で中枢神経疾患の基本動作向上のために指圧師ができること~
第2講座:「基本指圧を臨床の現場で応用するための方法」
午後には、中川智之 先生による「身体重心のコントロールとファシリテーションを患者様と楽しむ方法とは?」と宮下雅俊 先生による「基本指圧を臨床の現場で応用するための方法」の2つの実技講習が行われました。
中川 先生の講習では理学療法士としての実践を元に、PNFの具体的な実践方法や、無理なく体位変換介助を行う方法などを身体重心の原理、法則の解説を交えながら、分りやすく実演、実習指導いただきました。
また、リハビリの学習効果には反復の頻度、回数が重要であるというお話から展開し、治療家がそういった技術を患者の家族に対しても、手軽に楽しみながら出来るものとして伝えられる知識、技量を持つことの重要性をご教示いただきました。
宮下 先生の講習では基本指圧の手順一つにしても、施術の組み立てや狙いに応じて、その意味合いを考え直し意識することにより様々な応用が可能であることを「側腹部掌圧」を例にとり実演、実技指導いただきました。
また、短時間で効果的な施術への応用として、反応が現れやすい治療点と身体変化の組み合わせの具体例をいくつかご教示いただき、参加者もグループワークによる実習でその効果を確認、検討しました。
更には、そういった変化のポイントに注意を払い、考えて行くことからでも、指圧の効果を実証する一つの研究に結び付け得ることが参加者に呼び掛けられました。
皆様のお蔭をもちまして、今年度最初の大会を無事に終えることが出来ました。
次回は、平成27年8月2日の開催を予定しています。奮ってご参加ください。
▼新倉玄太 先生(げんた治療院 院長)より
今回初めて症例報告をさせていただきました。
準備の段階では日々患者様のためにやっていることと発表のためにすることのギャップがあり素材を集めたりプレゼンの構成をすることの難しさを感じました。
緊張しながら当日を迎えましたが、考えていたことや思いを伝えることの楽しさ、会員の方からの質問では自分では気付かなかったことに気づかされました。
アウトプットすることでより深く自分の治療を考えたりすることができてとても貴重でやりがいのある時間を過ごさせていただきました。
▼中川智之 先生(臥竜の里 訪問リハビリ指圧治療院 院長)より
理学療法士のリハビリテーションの視点で、指圧師の領域では、なかなか学ぶ機会の少ない在宅領域のことについて実技を交えながらお話させて頂きました。
学会では受講されていた先生方から「目からウロコでした!」と前もって先生方が打ち合わせされていたかのように言って下さり大変嬉しく思っております。
これから、今回学ばれた身体重心や支持基底面、床半力を意識した誘導、エクササイズ、残存機能を活かした介護法、そして指圧をして患者様、ご家族様に喜んで頂ければ幸いです。
ありがとうございました。
また、定期的に在宅リハビリテーションに関する勉強会『あすなろ在宅リハビリマッサージ研究会』も行っていますので、気軽にお声がけください。