Shiatsu therapy for atopic dermatitis (the second report): a case report
Yasutaka Kaneko*
Abstract : A patient with atopic dermatitis treated by shiatsu was monitored for one year, and her symptoms including pruritus, skin symptom and other accessory symptoms were stably controlled. Additionally two other cases were monitored for half a year and their symptoms were improved, although their values of Visual Analog Scale fluctuated. Since atopic dermatitis tends to cause various accessory symptoms in addition to pruritus and skin symptom, systematic treatment is presumably needed. Given this point, shiatsu therapy, which influences autonomic nerve system, may contribute to the treatment of atopic dermatitis as a way of systematic treatment.
Ⅰ.はじめに
筆者は、日本指圧学会誌第1号において7回の指圧治療で掻痒感と皮膚症状の改善がみられた症例を報告した。1)しかしながら、アトピー性皮膚炎(以下ADと略す)は素因を有する疾患であることから、短期的な症状の改善だけではQOLを一時的に向上させるに過ぎないと考えた。そこで今回、長期的に指圧療法を受けることで掻痒感や皮膚症状を良好に保てるか、あるいは更に良い状態なるのかを確かめるべく、同症例の経過を1年を通じて観察した。その結果、掻痒感と皮膚症状を安定的にコントロールすることができた。また、1例のみでは指圧療法がAD治療に効果を発揮するとは言い難いため、新たに2症例の中期的な経過を観察した。その結果、VAS値の変化、皮膚症状の軽減および随伴症状の変化がみられたので併せて報告する。
Ⅱ.対象および方法
場所:
学校法人浪越学園 日本指圧専門学校 臨床実習室
施術対象:
- 症例1 20歳女性
(2012.1.20〜2013.3.15 治療回数27回)
- 症例2 36歳女性
(2013.4.17〜2013.7.24 治療回数13回)
- 症例3 26歳男性
(2013.4.17〜2013.7.24 治療回数13回)
治療方法:
仰臥位における頚部操作および横臥位を除く浪越式基本指圧2)
評価:
VAS(Visual Analogue Scale)を用い、術前・術後の掻痒感の変化を観察した。写真撮影により皮膚症状の変化を観察した。
※VASは症例1では10段階にて評価、症例2、症例3では100mm=100ポイントにて各々評価を行った。
Ⅲ.結 果
症例1:20歳女性
[現病歴]
小学校6年生頃から症状が悪化しはじめたため、皮膚科を受診し、薬物療法により経過を観察していた。複数の皮膚科を受診し、薬を変えながら経過を観察していたが、専門学校入学時から症状が悪化しはじめた。現在は、アタラックスPドライシロップを2日に1包服用しながら、症状出現時にネリゾナ軟膏を使用し、症状をコントロールしている。
[既往歴]
スギ、ヒノキ、ハウスダスト、ラテックスのアレルギー。
[家族歴]
特記すべき事項なし。
[自覚所見]
- 掻痒感:ほぼ全身に感じているが、背部および前胸部、上腕部の瘙痒感が著しい。
- 排便回数:数年前までは1〜2週間に1回、最近は3日に1回程度である。
- 睡眠障害:掻痒のため、寝つきが悪く、寝ても途中で起きてしまう。
[他覚所見]
- 湿疹病変 ほぼ全身にみられる。特に背部と上腕部に顕著な病変がみられる。
- 掻破痕 肘窩部、頚部、背部等、全身にみられる。
[治療経過]
※第1回〜第7回までの経過は第1報に掲載したため省略する。
第8回(2012年4月25日)
VAS値:術前7→術後0
- 1カ月半ぶりの治療を行う。
- 背部に強い掻痒感がある。
第10回(2012年5月16日)
VAS値:術前3→術後0
- 掻痒感を感じない日が増えてきたため、薬の量が減っている。
第20回(2012年11月1日)
VAS値:術前5→術後0
- 寝つきが悪い、下痢、頭痛など症状がある。
- この時期は、例年調子が悪くなる。
第25回(2013年2月7日)
VAS値:術前3→術後0
第27回(2013年3月15日)
VAS値:術前0→術後0
症例2:36歳女性
[現病歴]
物心がついた時から掻痒を伴う湿疹病変があったが、さほどひどくはなくステロイド外用剤によりコントロールしていた。18歳の頃にステロイドを急にやめたところ、症状が一気にひどくなった。その後、ステロイド外用剤をできるだけ使わずにコントロールしている。
[既往歴]
2年前にバセドウ病の診断を受け、現在治療中。
[家族歴]
特記すべき事項なし。
[自覚所見]
- 掻痒感を感じる。
- 温かくなった時や汗をかいた際に強く出る。
- 軟便の時がある。
- 痒みで目が覚めることがある。無意識に搔いている。
[他覚所見]
- 頚部の炎症および色素沈着が著しい。
- 肘窩部、手関節部の湿疹病変が認められる。
- 頚部の筋緊張が強い。
[治療経過]
第2回(2013年4月24日)
VAS値:術前65→術後45
- 頚部の掻痒感が軽減している。
- 第1回の施術日の夜、右半身に寝汗をかいた。
- 腰痛が軽減した。
第3回(2013年5月8日)
VAS値:術前91→術後30
- 連休中、日射しを浴びても掻痒感が無かった。
- 5月7日より仕事が始まり掻痒感が強くなった。
第4回(2013年5月22日)
VAS値:術前69→術後39
- 精神的ストレスを感じ、5月20日に掻痒が強かった。
第6回(2013年6月5日)
VAS値:術前62→術後38
第7回(2013年6月11日)
VAS値:術前49→術後41
- お腹の調子が良い(軟便→普通)
- 発汗時を除いて掻痒感は軽減している。
- 保湿剤を塗布するとかえって症状が出現する。
第10回(2013年6月19日)
VAS値:術前63→術後28
- 月曜日の夜に掻痒感が強くなる。
- ステロイド外用剤、保湿剤共に使用していない。
第13回(2013年7月24日)
VAS値:術前49
症例3:26歳男性
[現病歴]
物心がついた時にはすでに掻痒を伴う湿疹病変があった。小学生の頃が一番ひどかったが、皮膚科を受診することはなかった。高校1年の時に皮膚科を受診し、アトピー性皮膚炎の診断を受ける。その後、皮膚科を20院ほどまわり、様々な治療を受けるがロコイド軟膏による治療で現在は経過を観察している。
[既往歴]
精神的に不安定であるため、心療内科に通院中である。
[家族歴]
特記すべき事項なし。
[自覚所見]
[他覚所見]
[治療経過]
第2回(2013年4月24日)
VAS値:術前14→術後32
第3回(2013年5月8日)
VAS値:術前2→術後69
第4回(2013年5月22日)
VAS値:術前59→術後77
第5回(2013年5月29日)
VAS値:術前91→術後68
- 眠れない。
- 倦怠感、吐き気、立ちくらみ、頭痛などの随伴症状がある。
- 心療内科を変え、薬を変える。
第6回(2013年6月5日)
VAS値:術前37→術後69
- 薬を変えてから倦怠感と眠気がある。
- 頚の回旋がしづらく、右上肢がしびれる。
第8回(2013年6月19日)
VAS値:術前15→20
第11回(2013年7月8日)
VAS値:術前22→術後86
第13回(2013年7月24日)
VAS値:術前89
- 夜眠れない(試験前で不安感が強い)。
- 嘔吐がなくなった。
- 下すことがなくなった。
- 掻破行動が起こらなくなってきた。
図1. 症例1における術前VASの変化
図2. 症例2における術前・術後VAS値の変化
図3. 症例3における術前・術後VAS値の変化
図4 症例1における皮膚症状の変化
図5 症例2における皮膚症状の変化
図6 症例3における皮膚症状の変化
IV.考察
アトピー性皮膚炎(以下ADと略す)の病態は、表皮、中でも角質の異常に起因する皮膚の乾燥とバリアー機能異常という皮膚の生理学的異常を伴い、多彩な非特異的刺激反応および特異的アレルギー反応が関与して生じる、慢性に経過する炎症と掻痒をその病態とする湿疹・皮膚炎群の一疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つと定義されており、疾患そのものを完治させうる薬物療法は無く、対症療法を行うことが原則となる3)。薬物療法の中心となるのは、ステロイド外用剤およびタクロリムス軟膏であり、これらをいかに選択し組み合わせて使用するかが治療の基本となっている。
しかしながら、薬物療法で症状をコントロールしていてもQOLを高い水準で保てない症例なども存在するものと思われる。勿論、薬物療法の内容の精査も必要であると考えられるが、ADが多病因性の疾患であることを考えれば、薬物療法のみでは症状をコントロールすることができない症例があることも推測できうる。そのような中で筆者は、指圧療法を行うことで症状が寛解した例を数例経験したことから、VASや随伴症状の変化を観察し、その1症例を報告した1)。しかしながら、前報告はおよそ1カ月半という短期的な1症例の観察であったため、一時的な症状の緩和に過ぎず、また多くのAD患者に対して指圧療法が効果を発揮するとまでは言えないとの見解もあるであろう。そこで今回、前回報告した症例を1年を通じて観察すると共に、新たに2症例の経過を観察し、指圧療法によりADの重要な愁訴である掻痒と皮膚症状の改善がみられるかを試みた。
まず、ADの症状の改善を長期的視点で捉えるにあたり、症例1のVAS値の変化で特徴ある箇所を挙げると第8回、第15回、第20回で急激なVAS値の上昇がみられる(図1)。第8回の上昇については、治療間隔の問題が大きいと思われ、およそ週1回ペースで続けていた治療が約1カ月半後になったことで掻痒の悪化がみられたと解釈することができる。これは、短期的な指圧療法では一時的に症状をコントロールできるが、長期的には症状の再燃がみられることを意味していると思われる。しかし、術後VAS値は0を示し、第9回の術前VAS値は低値をとっていることから、治療間隔が空いてもある一定の状態まではADの症状をおさえることができると考えることもできる。
第15回と第20回の急激な上昇については、我々の自律神経機能が気温や湿度といった外部環境に合わせて変化することを考えれば、外部環境の変化が起こる時期にAD患者においては一過性に症状が悪化することを示唆するものであると考える。そのような状況の下でも術後VAS値は0を示し、次回の術前VAS値も低値をとっている。このことはAD治療を行う上で重要な点となるように思われる。
これまで筆者が治療してきたAD患者においても、症状が安定している状態からでも一過性に症状が悪化することを経験している。それらに共通する事項は、外部環境が変化する時期、いわゆる季節の変わり目ということである。したがって、AD患者においては、外部環境の変化が著しい場合にはその症状が悪化すると考えることもできる。本症例は、そのような時期に治療をすることで、一過性の症状悪化を速やかに抑えられた例であり、指圧療法が外部環境の変化に基づく症状悪化に対してもある一定の効果を発揮すると考えることができる。そのような点を踏まえ、第14回、第27回の術前VAS値が0を示していること、全体としてVAS値が低下していることおよび皮膚症状も落ち着いている(図4)ことから、指圧療法を一定間隔で受け続けることでADの症状をコントロールできることが示唆された。
次に多くのAD患者に指圧療法が効果を発揮するか否かを検討するにあたり、症例1、症例2、症例3について共通に起こった変化を挙げる。3例に共通してみられるのは、皮膚症状の変化である(図4、図5、図6)。ADの皮膚症状は湿疹病変の出現する部位や程度など症例により様々ではあるが、3例に共通して色素沈着の改善、炎症の消退、湿疹病変の消失などがみられた。総じて皮膚症状が改善していると解釈することができる。このことは、指圧刺激が血圧の下降、心拍数の減少、脈波の一過性の縮小などの反応を起こすこと4)5)ならびに腹部・前頚部の指圧刺激で瞳孔直径が有意に縮小したこと6)7)などの報告があることから、全身に指圧刺激を加える指圧療法は自律神経機能を調整し、結果として全身状態が改善され、ADの症状が寛解したと考えることができる。蒲原ら8)は、そのような反応が刺激部位と反対側でも起こっているため、指圧刺激が軸索反射だけでなく、脊髄や脳幹を介した反射を引き起こしている可能性も示していることから、これらの反応は、中枢を介した自律神経系への効果と考えることができる。
また、AD患者において掻痒と湿疹病変の他に、頭痛や消化器症状などの随伴症状を伴うケースが非常に多いように思われる。今回の3例においても、下痢や嘔吐などの消化器症状を呈していた。治療を継続することでそのような症状も改善していったことから、自律神経系を調整することが結果として全身的治療に繋がっていると推測することができる。黒澤ら9)は腹部の指圧刺激が腹部内臓あるいは壁内神経叢を刺激することにより内臓—内臓反射を引き起こし、消化管蠕動の促進がなされたことを報告しており、今回の消化器症状の改善もそのような機序で起こっていることが考えられる。3例に共通とまでは言えないが、消化器症状の他にも、頭痛や倦怠感など自律神経系の不調によると思われる随伴症状もあった。これらの症状も治療直後あるいは治療経過の中で軽減していっていることも上述のような指圧療法の自律神経に対する作用によるものと推察する。
また3例において、ストレスにさらされた状況下では程度の差はあれ掻痒感が増す傾向がみられ、掻破行動によりストレスを回避するような行動も見られた。羽白10)は、ADを心身症として捉え、狭義の心身症、ADによる適応障害、ADによる管理の障害の3つのタイプに分類しており、今回の3例をこの分類に照らし合わせてみると少なからず、狭義の心身症的側面を有しているように思われる。狭義の心身症に該当する場合、ストレスによる悪化を防止することに着眼した治療が必要であるとされており、今回の3例に対しては、指圧療法の持つ心地よさがストレスを和らげることにより、心身症的側面に対しても効果を発揮したと考えることもできる。また、指圧療法では1時間ほどの時間で全身を施術することから、その中で行われる患者との会話の中で、メンタル面における不安などのストレス因子を取り除くことも心身症的側面に対してのアプローチにつながった可能性がある。
さらに、経過を観察する中で、3例中2例でVAS値の低下がみられた(図1、図2)。これは、指圧療法によりADの掻痒が軽減していることを示唆していると考える。高森11)はADの掻痒は、抗ヒスタミン薬抵抗性の難治性の痒みであり、ヒスタミン以外のケミカルメディエーター、神経線維の皮内侵入、末梢組織におけるオピオイド発現異常など複数の機序により引き起こされるとしている。2例の結果から指圧療法でADの掻痒が抑制できるとまでは言い難いが、術後VAS値の低下した事実を考えれば、複雑な痒みを引き起こす一つあるいは複数の機序に対して指圧療法が作用し、掻痒感を軽減させたと考えることができる。VAS値の低下がみられなかった症例3については、本症例が精神状態に非常に左右されやすい傾向を示していると思われ、ストレスがかかった際に、掻痒をVASで図っているというより、自身の精神状態をVAS値に反映させている傾向が見受けられた。
本症例の場合、上述した狭義の心身症というより精神疾患を抱えた患者がADも患っていると考えた方が妥当であると考える。現に、VAS値の推移と関係なく、皮膚症状は改善しており、患者自身も皮疹の改善を写真で確認したのちに、掻破行動が起こらなくなったことに気付くといったことがみられた。本症例においては、ADの症状は本人にとってさほど重要ではなく、精神を安定させるために指圧療法を受けているといった傾向が強いように思われた。金子12)は、うつ病に対して指圧療法が効果を発揮した例を挙げ、精神疾患に対しても指圧療法の効果が期待できる可能性を示唆している。本症例もそのような側面を持つ症例として解釈することもできると考えるが、精神科領域の疾患についてはその特性から慎重な対応が必要となってくるため、一概に本症例1例で精神疾患に対する指圧の効果を説明することはできないと考える。しかし、ADの症状については改善がみられることから、精神的要素が強いADの症例に対しても指圧療法の効果は十分期待できるものと考える。
また、今回3例に共通ではないが、症例2では発汗時の掻痒が特徴としてみられた。肘窩および手指部はやや乾燥気味であり、その部位に汗が付着した際に掻痒を訴える傾向にあった。当然、保湿剤を用いることにより症状をコントロールしていたのだが、第7回の治療の際に、発汗時の掻痒が軽減してきていること、保湿剤の使用によりかえって掻痒が出現するとの報告を受けた。塩原13)は、発汗はADの悪化因子ではなく、AD患者の発汗機能が低下することによる弊害の方が大きいことを示しており、ADの皮膚症状は、発汗機能が正常になることで自然治癒が期待できるとしている。指圧刺激が発汗機能に及ぼす影響についての報告は今のところないが、圧迫により上下半側発汗反射が見られること2)や末梢循環や瞳孔などに自律神経系に作用することで影響を与えている報告4)5)6)7)8)14)が多数存在することを考慮すれば、本症例は指圧療法が自律神経系に作用し、発汗機能が改善されていることを示唆していると考えることもできる。
上述のように、AD患者に指圧療法を施した結果、3例に共通して皮膚症状の改善が認められた。しかしながら、評価においては、各症例で特徴的な症状やVAS値の変化などを呈した。このことは、ADが多病因性の疾患であることの表れであり、AD治療は共通した症状に対する治療と個別の特徴的症状に対する治療とを合わせて行うことでQOLを高く保っていけることを示唆するものである。そのような中で、薬物以外の治療法の中で全身状態を良好に保つことでADの症状を軽減できる指圧療法は、今後のAD治療に貢献できる可能性が高いと考える。
V.結論
今回、1症例の1年の経過観察を通じて、指圧療法を行うことでADの症状を安定して保てる可能性が示唆された。3症例の経過観察を行った結果、ADの皮膚症状の改善が認められた。しかしながら、掻痒の指標であるVAS値に関しては、3例中1例で低下が認められなかった。全体として指圧療法がADに対して効果を発揮することは確認できたが、その症状は各患者で様々であると考えられる。その点を考慮すれば、皮膚症状、掻痒だけでなく様々な随伴症状を観察し、その変化に基づく評価をする必要性は高い。3症例の結果から、ADの様々な症状に対して効果を発揮する指圧療法はAD治療に貢献できる可能性が高いと考える。
VI.文献
1) 金子泰隆:アトピー性皮膚炎に対する指圧治療, 日本指圧学会誌(1), p.2-5, 2012
2) 石塚寛:指圧療法学 改訂第1版, 国際医学出版, 東京, 2008
3) 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン, 日本皮膚科学会誌, 119(8), p.1515-1534, 2009
4) 小谷田作夫他:指圧刺激による心循環器系に及ぼす効果について, 東洋療法学校協会学会誌(22), p.40-45, 1998
5) 井出ゆかり他:血圧に及ぼす指圧刺激の効果, 東洋療法学校協会学会誌(23), p.77-82, 1999
6) 栗原耕二郎他:腹部の指圧刺激が瞳孔直径に及ぼす効果, 東洋療法学校協会学会誌(34), p.129-132, 2010
7) 横田真弥他:前頚部・下腿外側部の指圧刺激が瞳孔直径に及ぼす効果, 東洋療法学校協会学会誌(35), p.77-80, 2011
8) 蒲原秀明ら:末梢循環に及ぼす指圧刺激の効果, 東洋療法学校協会学会誌(24), p.51-56, 2000
9) 黒澤一弘他:腹部指圧刺激による胃電図の変化, 東洋療法学校協会学会誌(31), p.55-58, 2007
10) 羽白誠:アトピー性皮膚炎への心身医学的対応, 医学のあゆみ, 228(1), p.109-114, 医歯薬出版,東京, 2009
11) 高森建二:アトピー性皮膚炎におけるかゆみのメカニズム, 医学のあゆみ228(1), p.25-30医歯薬出版株式会社,東京,2009
12) 金子武良:うつ病に対する指圧の効果.人体科学 21(1), p.47-51, 2012
13) 塩原哲夫:アトピー性皮膚炎と発汗, 医学のあゆみ, 228(1), p.31-37, 医歯薬出版,東京, 2009
14) 渡辺貴之ら:仙骨部への指圧刺激が瞳孔直径・脈拍数・血圧に及ぼす効果, 東洋療法学校協会学会誌(36), p.15-19, 2012
【要旨】
アトピー性皮膚炎の指圧治療(第2報)
金子 泰隆
今回、アトピー性皮膚炎患者1例の1年間の経過を観察し、その症状(掻痒、皮膚症状およびその他の随伴症状)を安定的に保つ事ができた。さらに別の2症例を約半年間にわたり経過観察した結果、VAS値の変化においては差異がみられたが、症状の改善がみられた。ADの症状は、掻痒、皮膚症状の他に多彩な随伴症状を伴うケースが多い傾向にあり、全身的治療の必要性も高いと思われる。その点を考慮すれば、自律神経系に影響を与える指圧療法がADの全身的治療としてAD治療に貢献できる可能性は高い。
キーワード:アトピー性皮膚炎,指圧療法,掻痒の軽減.皮膚症状の改善,随伴症状の改善