カテゴリー別アーカイブ: 調査・報告

東京夢舞いマラソン 指圧ボランティアアンケート報告(第2報):衛藤友親、永井努、石塚洋之

衛藤 友親
明治大学 体力トレーナー
永井 努
永井指圧治療院 院長
石塚 洋之
日本指圧専門学校 専任教員


Survey by questionnaire about volunteer Shiatsu at Tokyo Yumemai Marathon
 (The second report) : a survey report

Tomochika Etou, Tsutomu Nagai, Hiroyuki Ishizuka

Abstract : Following the survey report of the 12th Tokyo Yumemai Marathon, we conducted a survey in the form of a questionnaire at the Kagurazaka Station of the 13th Tokyo Yumemai Marathon using VAS (Visual Analogue Scale). About 97% of the respondents answered that the degree of fatigue or pain were reduced after the shiatsu treatment. Although there were some different conditions such as the weather and the number of questionnaires collected, the percentage was almost same as the last report. The number of cases with fatigue and / or pain in left leg was, however, lower than the last. It is necessary to discuss efficacy and effectiveness of shiatsu in sports fields by reviewing a format of the questionnaire and its implementation methods.


I.はじめに

 健康の保持・増進や体力の向上のみならず、ランニングを通じた人間関係を楽しむためにジョギングやマラソンを行う人は多い。

 マラソン大会に参加した市民ランナーに対し指圧を施した場合、ほとんどの人の痛みや疲労の自覚症状が改善されたのは既報の通りである。

 今回も同じ場所、同じ手法を用いてアンケート調査を実施したのでここに報告する。

II.日時

 2012年10月7日(日)

III.場所及び対象

 第13回東京夢舞いマラソン参加者中、神楽坂エイドステーション(スタートから33.892km地点)にて指圧を受け且つアンケートに回答した一般成人88名(男性57名、女性31名)。

IV.方法

 A4版両面印刷のアンケート用紙(図1,2)を用い、施術前と施術後の疲労および痛みの度合いを100mm(=100ポイント)の長さのVAS(visual analogue scale)にて、また、疲労を感じる部位並びに痛みを感じる部位を、身体イラストに丸印を記入する形式で回答して戴いた。

 尚、指圧はランナーの主訴に応じて5〜15分の間で浪越式基本指圧を中心に行った。

アンケート用紙

図1. 施術前アンケート用紙

図1. 施術前アンケート用紙

図2. 施術後アンケート用紙

図2. 施術後アンケート用紙

III.結果

 VASにて疲労および痛みの度合いが減少したのは88名中85名(97%)、増加したのは3名(3%)、変化がなかったのは0名(0%)であった。

 疲労および痛みの度合いが減少した例の平均ポイントは37ポイント、増加した例の平均ポイントは4ポイントであった。

 疲労および痛む部位でもっとも多かった回答は下腿後側左、次いで下腿後側右であった。尚、部位の回答は複数回答可のため、延べ434個所だった。

 

表1. 部位別主訴件数の左右差

表1. 部位別主訴件数の左右差

VI.考察

 今回の結果は前回の結果と比べ、主訴の多い順位や割合に大きな変化はなかったが、主訴件数の左右差は左が多かった部位が15部位から10部位に減少した。

 この原因は当日の天候が雨天だったため、より熱心なランナーが参加し、比較的ライトなランナーが不参加だったためではないかと推察する。

 根拠として、熱心なランナーほどコースの取り方やピッチによって下肢への負担が変わってくる1)ことを熟知している場合が多く、雨天のためにそのような障害予防の意識の高いランナーがスクリーニングされていた可能性が高いことが挙げられる。

 このような参加者自身の資質が結果に反映される可能性を考慮して、今後は回答用紙に競技年数の項目を追加するなど調査用紙の工夫が必要である。

 他方、天候やアンケート回収数が違うにもかかわらず、VASによる疲労および痛みの度合いが減少した例の割合とその平均ポイントは前報2)とほぼ変わっていない。

 これは指圧が対象や天候に関係なく一定の効果を出せることを示唆しており、そのメカニズムを含め今後更なる精査を進めていきたい。

VII.おわりに

 今後はより規模の大きな大会での調査を目指すべく、これまでの反省も踏まえて準備をしたい。また、施術地点や実施方法の抜本的な見直しも視野に入れ、スポーツ場面における指圧の有効性を模索したい。

VIII.参考文献

1) 川島敏生著, 栗山節郎監修:ぜんぶわかる筋肉・関節の動きとしくみ事典, p. 153, 成美堂,東京, 2012
2) 衞藤友親他:東京夢舞いマラソン指圧ボランティア報告, 日本指圧学会誌(1), p.33, 2012


【要旨】

東京夢舞いマラソン指圧ボランティアアンケート報告(第2報)
衛藤 友親, 永井 努, 石塚 洋之

 第13回東京夢舞いマラソン神楽坂エイドステーションにてVASを用いたアンケート調査を前回(第12回)に続き実施した。天候・アンケート回収数等の違いがあったが、VASにて疲労および痛みの度合いが減少した割合は前回同様およそ97%であった。しかし左側に疲労・痛みを訴えた件数は前回より減少した。調査用紙や実施方法を見直し、スポーツ場面における指圧の有効性を模索する必要がある。

キーワード:疲労軽減、スポーツ指圧、左右差



フリーウェアを用いた姿勢分析並びに関節可動域測定:黒澤一弘

黒澤 一弘
日本指圧専門学校教員

Discussion about postural analysis and measurement of joint motion utilizing free software

Kazuhiro Kurosawa

Abstract : For the development of Shiatsu in medicine, accumulation of evidences is crucial. Assessing the clinical condition of a patient objectively and accurately as much as possible, keeping track of its progress, and recording it are important. Solely the patient’s satisfaction and the fact of a cure are incomplete. Among the needs for Shiatsu treatment, locomotory problems make up relatively large number of complaints. Maintaining poor posture adds extra stress and strain to joints and muscles, and it may result in pain or discomfort. Accurate analysis of the patient’s posture allows a therapist to presume his/her muscle balance – which muscles are stretched/shortened. Taking this opportunity, I would like to discuss postural analysis utilizing digital camera and GIMP (GNU Image Manipulation Program).


I.はじめに

 医療における指圧が発展していくには、エビデンスの蓄積が必要である。それは単に患者の満足や治ったという事実で終わらせるのではなく、患者の病態を可能な限り客観的かつ正確に評価し、それを記録し経過を追っていくことが重要である。

 今日コンピュータやデジタルカメラ、スマートフォンなどの機器が普及し、多くの人がそれらを活用している。ここでは、それらの機器を用い、フリーウェア※1 ,※2 を活用して姿勢分析や関節可動域測定を行い、それを記録していくための方法を紹介する。

※1 フリーウェア:オンラインソフトの中で、無料で提供されるソフトウェア。

※2 ソフトウェアの選定基準として、Mac、Windows双方で同じソフトウェアが提供されていることを条件とした。

II.デジタルカメラとGIMPを用いた姿勢分析

II-1. GIMPについて

 指圧療法への要求のなかでも、運動器系の愁訴は多い。不良な姿勢がつづくことにより、関節や筋に持続的な緊張が加わり痛みや不快感の原因となりうるが、姿勢を正確に分析することにより、どの筋が伸長し、どの筋が短縮しているかという筋バランスを推測することができる。

 GIMP※3はMac、Windows、Linuxで使える汎用の画像加工・編集ツールである。無料でありながら他の有料画像編集ソフトウェアと比べても遜色のない機能を備えている。GIMPの機能は非常に多岐にわたるが、ここでは姿勢分析のための鉛直線に沿うように画像を回転させ水平をとり、グリッド(マス目)を被せることにより姿勢分析に応用する方法を述べる。

※3 GIMPのライセンスはGPL(General Public License)に属し、GIMP本体のプログラムを改変し販売することは認められないが、使用に関しては誰もが無料で使用できる。

II-2 GIMPのインストール

 ソフトウェア「GIMP」をダウンロードするために http://www.gimp.org/ にアクセスする。表示された画面の「Download」をクリックする。

図1. GIMPホームページ

図1. GIMPホームページ
downloadをクリックする

 ダウンロードしたファイルを実行し、GIMPをインストールする。尚、インストール画面までは英語表記であるが、プログラム本体は多言語対応で、インストール後に日本語表記となる。

II-3 GIMPを使い写真の水平垂直を合わせる

 写真から姿勢分析を行うのに重要なことは、水平垂直が正確にとれていることである。そこで、天井などから錘を垂らし、鉛直線を1本つくる。

※ 鉛直線は釣具店などで鉛の重石を購入し、丈夫な紐に括り付ければ安価に作成できる。

 下の写真は三脚を用いず、カメラを手持ちで撮影した。見た目にやや前傾姿勢に見えるが、この写真は正確な水平がとれていない。そこで、この写真をサンプルとして鉛直線を基準に画像を回転させ、水平垂直を合わせる。

図2. サンプル画像

図2. サンプル画像
水平がとれていない

① 水平をとるための仮想グリッド[表示]-[グリッドを表示]を選択する。

図3.  [表示]-[グリッドを表示]

図3. [表示]-[グリッドを表示]

② 画面上にグリッドが引かれるが、マス目が細かすぎるので、グリッド幅を調節する。
[画像]-[グリッドの設定]を選択する。
間隔の数値をそれぞれ100※4 に変更する。

図4. [画像]-[グリッドの設定]

図4. [画像]-[グリッドの設定]

※4 幅と高さを100としたのは、後の画像を回転させ、水平垂直を合わせるために、見やすくするためであり、100以外でも可能である。デジタルカメラの画素数やPC環境により、最適な数値は異なる。

※5 鎖のマークは幅と高さの比率を固定とするか否かである。

③ グリッドの間隔が広がる。拡大して画像の傾きを確認する。
ツールボックスより【ズーム】を選択 する。

図5. ツールボックスより[ズーム]を選択

図5. ツールボックスより[ズーム]を選択

水平・垂直がずれているのが確認できる。

図6. 鉛直線とグリッドのずれ

図6. 鉛直線とグリッドのずれ

画像を回転させ、グリッドと鉛直線を平行にする。ツールボックスより【回転】を選択。

図7. ツールボックスより[ズーム]を選択

図7. ツールボックスより[ズーム]を選択

[回転]ツールを使い、鉛直線と縦グリッドを平行にあわせる

図8. 鉛直線と縦グリッドを平行にあわせる

図8. 鉛直線と縦グリッドを平行にあわせる

④ 水平垂直が正確となったが、表示されていたグリッドは画像編集のための仮想グリッドなので、保存してもグリッドは残らない。

図9. 元画像と水平をあわせて保存した画像

図9. 元画像と水平をあわせて保存した画像

II-4 GIMPを使い写真にグリッドをひく

⑤ 水平がとれたならば、次は姿勢分析のために画像に上書きするグリッド線をひく。まずは再び[表示]-[グリッドを表示]を選択し、仮想グリッドを非表示にする。

図10. 仮想グリッドを非表示

図10. 仮想グリッドを非表示にする
(チェックボックスの選択を解除する)

⑥ [フィルタ]-[下塗り] -[パターン] -[グリッド]   を選択し、グリッドを画像に被せる。

図11. [フィルタ]-[下塗り] -[パターン] -[グリッド]

図11. [フィルタ]-[下塗り] -[パターン] -[グリッド]を選択

グリッドの間隔が細かすぎるので変更する。間隔の値を適切な値に設定する。ここでは水平、垂直を16から100に変更する。

図12. グリッドの設定画面

図12. グリッドの設定画面
間隔の値を適切な値に設定

画像に直接グリッドが描画される。この状態で保存すれば、グリッド有りで保存される。

図13. グリッドが描画された写真

図13. グリッドが描画された写真

⑦ 周囲の不要な部分を除き、トリミングする。ツールボックスより[切り抜き]を選び、残したい部分を囲む。

図14. [切り抜き]設定画面

図14. [切り抜き]設定画面

範囲選択後、クリックまたはエンターキーで画像がトリミングされる。

図15. トリミングされた写真(完成)

図15. トリミングされた写真(完成)

 以上の手順を行うことにより、鉛直線を基準として、写真の水平・垂直を合わせ、姿勢分析に必要なグリッドを描画し、写真の大きさを調節することができる。この作業を前後左右で行うことにより、三次元的な姿勢のアンバランスを見分けることが容易となる。

※ 水平器のある三脚を用いて撮影すれば、画像の水平・垂直を合わせる処理は省略できるので、簡便となる。

III.ImageJを用いた関節可動域・角度測定

III-1. ImageJについて

 ImageJはアメリカ国立衛生研究所(NIH)で開発された画像処理ソフトウェアで、MacOS X、Windows、Linuxで動作する。パブリックドメインとして誰もが自由に無料で使用できる。ImageJの機能は多岐にわたる1)が、ここでは関節可動域の測定について述べる。

III-2. ImageJのインストール

  ソフトウェア「ImageJ」をダウンロードするために http://rsb.info.nih.gov/ij/ にアクセスし、ダウンロードしインストールする。

図16. ImageJ ホームページ

図16. ImageJ ホームページ

※Windowsを使用している場合は、Javaが付属した32ビットバージョンで良いと思われる。(使用しているWindowsが64ビットの場合でも動作する)Macの場合は、32ビット版と64ビット版が同梱されている。

 III-3. ImageJを用いた関節可動域・角度測定

① 術前・術後などで関節の可動範囲をデジタルカメラなどで写真にとっておく。

図17. サンプル写真(術前・術後)

図17. サンプル写真(術前・術後)

② 角度測定はアングルツールを用いるが、事前に計測したい関節周囲を虫眼鏡ツールで拡大する。ズームインしたいときは、このツールで画像をクリックする。ズームアウトの時は、Alt +クリック、または右クリック。(Macの場合、option + クリック、または右クリック)

図18. ImageJ 操作パレット

図18. ImageJ 操作パレット
ここではアングルツールと虫眼鏡ツールを用いる

③ アングルツールを用いて、角度測定を行う関節の基本軸と移動軸に合わせて線を引く。

図19. 肩関節の移動軸と基本軸

図19. アングルツールを用いて、角度測定を行う
肩関節の移動軸と基本軸に線を引く

④ メニューより[Analyze]-[Measure]を選択すると角度測定結果が表示される。

図20. [Analyze]-[Measure]を選択

図20. [Analyze]-[Measure]を選択

図21. 角度測定結果

図21. 角度測定結果が表示される
施術経過票に記録する

 以上の手順により、術前・術後などで関節可動域の変化を数値で表せる。

IV.姿勢分析の一例

図22. 姿勢分析の一例(前面・後面)

図22. 姿勢分析の一例(前面・後面)

図23. 姿勢分析の一例(左側面・右側面)

図23. 姿勢分析の一例(左側面・右側面)

  • 眉間-オトガイのラインと指示基底面中心を通るラインがずれている。

  • 右肩上がり、左上肢が下がっている。

  • 側面図より、左上肢のほうが右上肢に比べ前にでていることから、体幹軸が左回旋していると考えられる。

  • 体幹の重心が左寄りになっている。

  • 右下肢軽度外旋位

  • 上肢が前にきていることにより、大胸筋, 小胸筋の過緊張が考えられる。※その結果として円背が引き起こされている可能性がある。

  • 胸椎後弯が目立つが、腰椎前弯はさほど強くないように思える。

  • 膝関節軽度屈曲
    ※股関節屈筋の緊張により、立位では膝屈曲が生じる。腰椎前弯を軽減させる目的で膝関節屈曲している可能性がある。2)

V.結語

 GIMPやImageJを用いることにより、汎用のデジタルカメラを姿勢分析や関節可動域測定に利用できる。臨床の場では、角度計を用いた関節可動域測定は手間がかかることもあり、行われないことも多いと思われるが、デジタルカメラで術前、術後の写真を残しておけば、後から角度を測定し、記録していくことができる。

 また、グリッド線を引くことにより、短時間での肉眼観察では気がつきにくい、筋骨格のアンバランスを知ることができる。

 治療において、他覚的な所見を集め、その変化を記録し、観察していくことが重要だと思われる。クライエントに術前、術後の客観的変化を明示することにより、指圧の効果を具体的に示すことができ、それは施術者への信頼へとつながる。また、施術後に画像を解析することにより、考察を加え、次回の施術に活かしていくこともできる。そのプロセスの積み重ねが施術者の知識と技術の向上に大きく寄与すると考える。

 理学療法の分野では、ImageJを用いた症例報告や研究論文が多数発表され、エビデンスの蓄積が行われている。今回、日本指圧学会の創立にあたり、指圧療法のエビデンス蓄積並びに、指圧界全体の発展に寄与できればと思い、本稿を執筆した。

VI.参考文献

1) 小島清嗣 他:画像解析テキスト—NIH Image, Scion Image, ImageJ実践講座,羊土社, 東京, 2006
2) ケンダル 他:筋 機能とテスト—姿勢と痛み,p.95, 西村書店, 東京, 2006


【要旨】

フリーウェアを用いた姿勢分析並びに関節可動域測定
黒澤 一弘

 医療における指圧が発展していくには、エビデンスの蓄積が必要である。それは単に患者の満足や治ったという事実で終わらせるのではなく、患者の病態を可能な限り客観的かつ正確に評価し、それを記録し経過を追っていくことが重要である。指圧療法への要求のなかでも、運動器系の愁訴は比較的多いと思われる。不良な姿勢がつづくことにより、関節や筋にストレスや緊張が加わり痛みや不快感の原因となりうるが、姿勢を正確に分析することにより、どの筋が伸長し、どの筋が短縮しているかという筋バランスを推測することができる。今回は、デジタルカメラとGIMPを用いた姿勢分析について紹介する。

キーワード:姿勢分析、関節可動域、フリーウェア、GIMP、ImageJ、指圧



避難所での指圧救護と主訴:月足弘法

日本指圧協会 東京指圧救護赤十字奉仕団
月足 弘法
五本木指圧研究所所長
中盛祐貴子
祐泉指圧治療院院長
菅原 伸人
日本指圧協会文京支部
瀧本 光代
瀧本指圧治療院 院長

Shiatsu treatments and chief complaints at the evacuation center

Hironori Tsukiashi, Yukiko Nakamori, Nobuto Sugawara, Mitsuyo Takimoto

Abstract :After the Tohoku Earthquake, we supported evacuees with Shiatsu treatment at a primary evacuation center of Azuma Sports Park, Fukushima City, Fukushima Prefecture (the number of evacuees of the day; 633) for two days from May 11 to May 12, 2011. We conducted hearing survey of chief complaints from 181 evacuees and treated them with a twenty-minute session of Shiatsu therapy. Chief complaints of the 181 evacuees living there consisted of problems of shoulders; 78, lower back; 35, legs; 23, neck; 20, arms; 13, back; 6; and other problems including eyestrain, gastritis, and fatigue; 6. Contrary to our expectation that mainly their chief complaints would be about lower back and legs, the number of evacuees complaining about strains and stiffness of shoulders was actually more than double that of lower back. We also questioned them about the chief complaints after the Shiatsu treatments and confirmed that they were abated.


I.はじめに

 2011年(平成23年)3月11日(金)14時46分18秒(日本時間)東日本大震災により被災された皆様に心から御見舞い申し上げます。

 日本指圧協会所属である東京指圧救護赤十字奉仕団(日本赤十字社東京都支部 特殊奉仕団)は、東日本大震災の一次避難所にて指圧救護を行った。

 医療活動として、避難所での指圧救護に対する検討および避難所における被災者の主訴を報告する。

II.方 法

1.対象

 1次避難所にて寝泊まりおよび食事をする避難者(当日の避難者数633人)の中で、指圧救護を受けた男性66人、女性115人の合計181人を対象とした。

 なお、指圧治療と主訴の記録使用について、十分に説明し同意を得た上で行った。

2.期間

 平成23年5月11日(水)〜12日(木)の2日間(東日本大震災発生から2か月後)

3.場所

 福島県あづま総合運動公園(福島市)一次避難所内、あづま総合体育館の救護施設および県営あづま球場の会議室。

4.指圧方法

 パイプ椅子による座位指圧(図1)および組み立て式ベッドによる伏臥、仰臥、横臥(図2)による浪越式指圧1)にて1人当たり約20分の施術を行った。

図1. パイプ椅子による座位指圧

図1. パイプ椅子による座位指圧

図2.組み立て式ベッドによる 伏臥、仰臥、横臥位での指圧

図2.組み立て式ベッドによる伏臥、仰臥、横臥位での指圧

5.問診方法

 主訴および症状をあん摩マッサージ指圧師21人(男性14人、女性7人)が、患者から直接問診し用紙に記録した。

6.記録管理

 あん摩マッサージ指圧師の担当者2人が、記録した問診用紙を集計し確認した。

III.結 果

1.指圧救護

 東京指圧救護赤十字奉仕団は、新潟県中越地震の被災地や大島噴火災害、三宅島噴火災害の避難所などでの指圧救護活動の経験に基づき、東日本大震災および福島原子力発電所事故による被災者の長引く避難所生活での心身疲労を考慮し医療従事者として指圧治療した。

 また、避難所生活での健康に対するアドバイスや運動法を指導すると共に、エコノミークラス症候群対策の自己指圧プリントを避難者へ配布および避難所に掲示した。

2.主 訴

 避難所に寝泊まりする被災者181人の主訴(図3)は、肩部78人、腰部35人、下肢23人、頸部20人、上肢13人、背部6人、その他6人(眼精疲労、胃炎、倦怠感など)であった。

 避難所生活ではエコノミークラス症候群2)の注意が必要であり下肢や腰部の主訴が多いと思われたが、肩の張りや凝りを訴える方が腰部の倍以上であった。

 また、指圧診療後の問診により手足や体が温まり3)凝りが取れたと、主訴の改善が確認できた。

図3.避難所に寝泊まりする被災者181人の主訴

図3.避難所に寝泊まりする被災者181人の主訴

IV.結論

 避難所生活の初期段階では、エコノミークラス症候群を意識した指圧と共に指圧救護によるコミュニケーションが大切である。また、長期化するほど精神的な影響が身体へ影響してくる為、継続的な指圧療法が必要である。

 指圧救護の効果としては、特にプライバシーの少ない避難所生活における不眠症に対して有効であったと指圧を受けた被災者から多くの報告を頂いた。

 避難所での指圧治療と主訴について分析した情報を共有し、避難所と同様に仮設住宅においても長期的な医療活動が必要であるといえる。

V.参考文献

1) 石塚 寛:指圧療法学, 国際医学出版, 東京, 2008
2) 榛沢和彦 他:新潟中越地震災害医療報告-下肢静脈エコー診療結果,新潟医学会雑誌, 120; pp.14-20, 2006
3) 蒲原秀明 他:末梢循環に及ぼす指圧刺激の効果,東洋療法学校協会学会誌(24); p.51-56, 2000


【要旨】

避難所での指圧救護と主訴
月足 弘法, 中盛祐貴子, 菅原 伸人, 瀧本 光代

 東日本大震災後の平成23年5月11日(水)〜12日(木)の2日間を福島県あづま総合運動公園(福島市)の一次避難所(当日の避難者数633人)にて指圧救護を行い、合計181人に対し主訴の聴取および20分の指圧施術を行った。避難所に寝泊まりする181人の主訴は、肩78人、腰35人、下肢23人、首20人、上肢13人、背部6人、その他(眼精疲労、胃炎、倦怠感など)6人であった。避難所生活では腰や下肢の主訴が多いと思われたが、肩の張りや凝りを訴える方が腰の倍以上であった。また、指圧診療後の問診により、主訴が改善されたことを確認できた。

キーワード:指圧、ボランティア、東日本大震災、エコノミー症候群



ビーチフットボール競技における指圧認知度調査報告:石塚洋之

石塚 洋之
日本指圧専門学校教員

Recognition of Shiatsu in the field of beach football: a survey report

Hiroyuki Ishizuka

Abstract : Anma (Japanese traditional massage), massage, and Shiatsu are becoming widespread also in the field of sports these days. Such therapies are getting familiarized among not only top athletes but also general sports-loving people, and it indicates the growing demands in this field for Anma, massage, and Shiatsu. Through my experiences as practicing Shiatsu in the field of sports, I had become to wonder if few athletes recognized advantageous effects of Shiatsu such as pre-exercise conditioning and performance improvement. Therefore, we conducted a survey regarding the recognition about effects of pre-exercise Shiatsu over two years (in 2008 and 2009) taking opportunities of extracurricular volunteering activities of Japan Shiatsu College in the field of sports, specifically beach football, over the last four years. As a result, the recognition about effects of pre-exercise Shiatsu was low, and most of athletes had no experiences of Shiatsu before exercises. The results suggested that the wide range of effects from Anma, massage, and Shiatsu treatments were not well known in the field of sports, and it is necessary for licensed practitioners of Anma, massage, and Shiatsu to widen their appeal in this field and to spread the awareness of such effects. The more active they are, the more needs for Anma, massage, and Shiatsu are expected in the field of sports.


I.はじめに

 現在、スポーツの分野でも幅広くあん摩マッサージ指圧が浸透しつつある。またそれはトップアスリートだけでなくスポーツ愛好家と呼ばれる、スポーツを楽しむ人々にとっても同じであると言える。しかし、私がスポーツの領域で指圧活動を行う中で感じたことは運動後の疲労回復としての効果のみが広く認識されているが、運動前のコンディショニングやパフォーマンス向上の効果を認識している競技者は少ないのではないか?という疑問を抱いたことである。私たちあん摩マッサージ指圧師は施術による疼痛の緩和・関節可動域の増大などの効果を経験的に知ってはいるが、その効果を競技者たちは知らないために、あん摩マッサージ指圧は運動後に受けるものと認識しているのではないかと考えられる。競技者によっては施術を運動前に受けると動けなくなると認識していて施術を受けようとしない者もいる。これにはスポーツ領域でのマッサージ行為に有資格者だけでない者の存在も多い。などの様々な課題があるが、先ずは競技者たちに対する正しいあん摩マッサージ指圧の効果の認識を広めていくというのも我々有資格者に求められる課題ではないかと強く感じる。

 そこで私は今回、日本指圧専門学校のスポーツ領域における課外ボランティア活動でビーチフットボール競技での過去4年間のうち平成20年と平成21年時の2年に渡り運動前の指圧効果認識調査を行ってきたのでその調査結果の報告を行う。

II.方法

1. 対象:

 IBFA(国際ビーチフットボール協会)主催。ビーチフットボールJAPAN TOUR全国大会出場選手のうち過去に指圧・マッサージを受けた経験のある者を対象とした。

2. アンケート調査日:

 平成20年7月21日、平成21年7月25日 2年分計2回

3. 調査方法:

 会場でボランティア指圧を行い、指圧を受けてもらった選手にアンケートを記入していただいた。

4. アンケート調査の目的:

 「運動前の指圧・マッサージ効果」の認識度を把握する目的で行った。

5.アンケート内容

図1. アンケート内容(平成20年、平成21年)

図1. アンケート内容(平成20年、平成21年)

 平成21年の活動では平成20年の成果があり、平成20年の活動時の指圧を受けた者の数値と混じることを防ぐため、平成20年度指圧を受けたものを除外したなかで運動前の指圧・マッサージ経験の有無を調査できるようにアンケート内容を改良した。

III.結果

1. 平成20年の結果は指圧経験者の内88%の者が「運動前の指圧・マッサージ効果」の認識がなかった。

2. 平成21年の本大会以外での指圧経験者の内76%の者が「運動前の指圧・マッサージ効果」の認識がなかった。

図2. アンケート集計表

図2. アンケート集計表

IV.現状分析

 このアンケートからスポーツ領域(ビーチフットボール競技)において、今までに指圧を受けた経験はあるが運動前に指圧を受けた経験はないという者が多いという結果がでた。私たち指圧師自身は指圧が関節可動域の増大や筋柔軟性向上に効果があることを経験的に認識している。そのためスポーツ分野にも有効であるということを認識してはいるが、競技者たちにはその認識がないということである。

V.結論

 アンケート集計結果から疲労回復としての効果以外の運動前の指圧・マッサージ効果を競技者に認識させることは需要の増大とともに競技による障害予防やパフォーマンス向上にもつながると考えられる。ひいては競技者の安全と健康を守り、競技人生の延長、生涯スポーツの援助にもつながると考えられる。


【要旨】

ビーチフットボール競技における指圧認知度調査報告
石塚 洋之

 現在、スポーツの分野でも幅広くあん摩マッサージ指圧が浸透しつつある。またそれはトップアスリートだけでなくスポーツ愛好家と呼ばれる、スポーツを楽しむ人々にとっても同じであり、このことはスポーツ界においても、あん摩マッサージ指圧の需要が高まっていると言える。しかし、私がスポーツの領域で指圧活動を行う中で感じたことは運動後の疲労回復としての効果のみが広く認識されているが、運動前のコンディショニングやパフォーマンス向上の効果を認識している競技者は少ないのではないか?という疑問を抱いた。

 そこで今回、日本指圧専門学校のスポーツ領域における課外ボランティア活動でビーチフットボール競技での過去4年間のうち平成20年と平成21年時の2年に渡り運動前の指圧効果認識調査を行った。結果、運動前の指圧効果の認識は低く、多くの競技者が運動前に指圧を受けた経験が無いという結果がでた。このことは、スポーツ界にあん摩マッサージ指圧の幅広い効果の認識がまだ不足していることが示唆され、今後もスポーツ界に資格を有したあん摩マッサージ指圧師が活躍し、その効果を広めていく必要性がある。これにより今後ますますスポーツ界における、あん摩マッサージ指圧の需要増大も期待される。

キーワード:ビーチフットボール、ビーチラグビー、指圧トレーナー、運動前指圧、スポーツ指圧、コンディショニング指圧、パフォーマンス向上指圧



東京夢舞いマラソン 指圧ボランティアアンケート報告:衛藤友親

World Smile Project
衛藤 友親
明治大学体力トレーナー
宮下 雅俊
てのひら指圧治療院院長
石塚 洋之
日本指圧専門学校教員
満留 伸行
指圧マッサージ指愈院長

Survey by questionnaire about volunteer Shiatsu at Tokyo Yumemai Marathon
: a survey report

Tomochika Etou, Masatoshi Miyashita, Hiroyuki Ishizuka, Nobuyuki Mitsudome

Abstract : We conducted a survey in the form of a questionnaire inquiring degree of pain before and after Shiatsu treatment using VAS (Visual Analogue Scale), which was 100 mm (= 100 points) in length. The questionnaire was A4 size, double-sided printing, and answered at the Kagurazaka Station of 12th Tokyo Yumemai Marathon (at the point of 33.892 km). The respondents were also asked to mark up fatigued and/or painful areas on illustrations of the questionnaire. As a result, about the degree of fatigue or pain described in VAS, 133 answered “decreased”, three answered “increased”, and two answered “remain the same” out of the 138 respondents. The average VAS score of the cases “decreased” was 38 points and “increased” was 28 points. Regarding the fatigued and/or painful areas, the top answer was the posterior region of left lower leg, and the second was the posterior region of right lower leg.


I.はじめに

 手軽に実行できるスポーツとして、また近年は観光名所をコースに設定した大会が催されるなど、ジョギング及びマラソンの人気には根強いものがある。競技人口が増加する一方、競技参加に伴う身体ダメージのケア及び市民ランナーの競技力向上のための指圧効果の科学的研究はほとんどなされていない現状がある。

 この事実から我々は、市民マラソン大会における参加ランナーの身体ダメージの状況調査と指圧治療の有効性検証を試みた。以下に結果と考察を記す。

II.対象および方法

1.日時

 2011年10月8日(日)

2.場所及び対象

 第12回東京夢舞いマラソン参加者中、神楽坂エイドステーション(スタートから33.892km地点)にて指圧を受け且つアンケートに回答した一般成人138名(男性75名、女性55名、不明8名)。

3.方法

 A4版両面印刷のアンケート用紙(図1,2)を用い、施術前と施術後の疲労および痛みの度合いを100mm(=100ポイント)の長さのVAS(visual analogue scale)にて、また、疲労を感じる部位並び痛みを感じる部位を、身体イラストに丸印を記入する形で回答していただいた。

アンケート用紙

図1. 施術前アンケート用紙

図1. 施術前アンケート用紙

図2. 施術後アンケート用紙

図2. 施術後アンケート用紙

III.結果

 VASにて疲労および痛みの度合いが減少したのは138名中133名(96%)、増加したのは3名(2%)、変化がなかったのは2名(2%)であった。

 疲労および痛みの度合いが減少した例の平均ポイントは38ポイント、増加した例の平均ポイントは28ポイントであった。

 疲労および痛む部位でもっとも多かった回答は下腿後側左、次いで下腿後側右であった。尚、部位の回答は複数回答可能なため総計571個所あった。

表1. 部位別主訴件数の左右差

表1. 部位別主訴件数の左右差

IV.考察

 今回の結果で特徴的なのは、疲労および痛む部位が左側に多いと言うことであるが、左側主訴が多い部位は右側主訴でも他所と比して多い傾向にあるので、今後の精査課題としたい。

 現段階での因果関係は不明であるが、マラソンに限らず肉体労働等の負荷を一定時間身体にかけ続けた場合に今回の結果と同様に左側に疲労や痛みが多いと仮定した場合、浪越式基本指圧の施術順序と何らかの因果関係が見出されるのではないかと推測される。

 また、東京マラソン参加者のなかで自転車救護チームによって応急処置を受けたランナー約310名の64.7%が足の筋肉・関節の痛みを主訴としている1)ことと今回の結果を合わせて考えた時、スポーツ場面における指圧治療普及の有効性・可能性が示されていると考える。

V.おわりに

 今後も可能な限り調査を継続し治療効果の解明に寄与したい。

 またその結果を元に、マラソンをはじめとするスポーツ愛好家に親しまれる指圧の推進普及に努めたい。

VI.参考文献

1) 伊藤静夫:マラソンにおける水分補給の重要性, 指導者のためのスポーツジャーナル,二〇一二年春号, p.44, 公益財団法人 日本体育協会, 東京, 2012


【要旨】

東京夢舞いマラソン指圧ボランティアアンケート報告
衛藤 友親, 宮下 雅俊, 石塚 洋之, 満留 伸行

 第12回東京夢舞いマラソン神楽坂ステーション(33.892km地点)にてA4版両面印刷のアンケート用紙を用い、施術前と施術後の疲労および痛みの度合いを100mm(=100ポイント)の長さのVAS(visual analogue scale)にて回答いただいた。また疲労および痛みの部位をイラストに記入する形式で回答いただいた。その結果、VASにて疲労および痛みの度合いが減少したのは138名中133名、増加したのは3名、変化がなかったのは2名であった。疲労および痛みの度合いが減少した例の平均ポイントは38ポイント、増加した例の平均ポイントは28であった。疲労および痛む部位でもっとも多かった回答は下腿後側左、次いで下腿後側右であった。

キーワード:疲労軽減、下腿後側、左右差、スポーツ指圧