指圧とフェルディ式リンパドレナージによる結節性紅斑へのアプローチ:中盛祐貴子

中盛祐貴子
祐泉指圧治療院 院長

An approach to erythema nodosum through Földi method complex physical therapy and Shiatsu therapy: a case report

Yukiko Nakamori

Abstract : A patient with inflammation, joint swelling and edema caused by erythema nodosum, which was triggered by osteoarthritis of lumbar spine, was treated with “Földi method complex physical therapy”, “Shiatsu therapy”, compression therapy and decongestive exercises. The course of treatment was evaluated by circumferences and volumes of four reference points of the left lower extremity. As a result, circumferences and volumes of the two points were decreased. Therefore, medical manual lymphdrainage and Shiatsu therapy combined with compression therapy and decongestive exercises may have a potential to ease edema and accessory symptoms.


I.目的

 「結節性紅斑」とは、皮下の脂肪細胞の炎症 (脂肪織炎)を表す。結節性紅斑は、種々の疾病の免疫反応であり、細菌、ウイルス、真菌などの感染アレルギーが原因と考えられる。このほかに、薬剤によるもの、内臓の悪性腫瘍や、ベーチェット病、結核、サルコイドーシス、クローン病などによるものがある。

 症状としては、両下肢、特に下腿伸筋群に発症しやすい傾向がある。また、大小さまざまの紅斑が発現する。紅斑は皮膚表面から、軽く隆起し、境界は不鮮明である。触れると、熱感があり、深いところにしこりがある。圧迫すると痛みがあり、関節の腫れや紅斑周辺の浮腫が発症する。

 これらの特徴的症状の、疼痛の緩和および浮腫症状の軽減、歩行制限を伴ったADLの改善を目的とする。治療のためのアプローチとして、「フェルディ式複合的理学的療法」と「指圧治療」の両者を採用した。

Ⅱ.対象および方法

【症例】

日時:2012年6月12日〜2013年3月28日
施術対象:73歳男性

 2011年3月に、変形性腰椎症と診断され、腰椎〜仙骨を中心に左右10本のボルトによる固定を目的とした手術を受けた。同年6月に、ボルトによる脊柱起立筋などの周辺組織の炎症反応が悪化したため、ボルトを摘出。再度新しいボルトを固定し直す手術を受けた。

 手術後1年を経過した頃から、左下腿(肝経・脾経に相当)の伸筋群を中心に結節性紅斑が出現。後に、右下腿(肝経・脾経に相当)の伸筋群にも面積は小さいが結節性紅斑が出現した。

 今後、両下肢に、この結節性紅斑が、広がっていかないか不安になり、また日常の歩行が不可能になることを危惧されて、当院を受診する。

【現病歴】

 左右の下腿伸筋群(特に左下腿)に結節性紅斑に伴う、炎症反応、圧痛、むくみを感じ、歩行時など下肢に重だるさや、関節の動きに少し違和感がある。術後の後遺症として、全身の易疲労、下痢、腰痛がある。

 他に糖尿病を既往歴として抱えている。

【初診時の所見】1)

  • シュテンマーサイン …左右第2足趾(+)
  • 圧痕性テスト…左右下腿部(+)
  • 皮膚肥厚チェック …左右足背部(+)
  • 関節可動性 …左右股・膝・足関節ともに可動域制限あり。
  • 皮膚の状態 …左右の下腿伸筋群に浮腫、炎症反応がある。手術の瘢痕は硬い。
  • その他の所見 …下腿に靴下のくい込み痕。

【評価】1)

 左右下腿4点の計測基準点の周囲径計測値および下肢容積の変化を治療前後にて評価

①足背…第2趾爪甲根部より10cm 
②外果…腓骨末端よりはじめ、外果より上点7cm 
③下腿最大…下腿最大点(膝関節を基点に下方に向けて13cm)
④膝点…膝窩の関節裂隙外側

【治療】

 仰臥位にて、左右の下肢浮腫症状を目的とした医療徒手リンパドレナージを20分施療。

 随伴症状に対しては、腰背部、臀部、下肢、肩甲骨および上肢、腋窩部、腹部に重点を置き、浪越式基本指圧を20分施療。同時に患者自身によるスキンケア、弾性包帯による圧迫療法及び圧迫下での運動療法も併せて行う。

ⅰ.結節性紅斑に伴う両下肢の浮腫へのアプローチ1)

※前処置と後処置は施術時間の都合上省略した

《仰臥位にて》

①軽擦
②鼠径リンパ節の処置
③大腿部(前面、外側、後面)
④膝部(膝蓋骨上、内膝、膝窩リンパ節、鵞足)
⑤下腿部(前面、後面)
⑥足関節部(内・外果、足関節上)
⑦足部(足背、足趾、足底)
⑧症状に応じて再度処置
⑨軽擦

ⅱ.指圧療法

《仰臥位》

 リンパドレナージにて誘導されたリンパ液を、乳縻槽に誘導するため、腹部指圧を行う2)。炎症反応や関節拘縮が強い場合は、両下肢の基本指圧を施術し、末梢部に貯留したリンパ液を鼠径部に戻すことを意識して、運動療法も行う。

《横臥位》

 術後の筋緊張を鑑みながら、腰背部、臀部などは入念に行う2)。浮腫症状が強い場合は、腋窩リンパ節への誘導を意識しながら、腋窩、肩甲骨(特に下角)、上肢への施術も行う。時には、鎖骨下リンパ節への誘導として、頚部も施術する。

III.経過

 2012年6月12日〜2013年3月28日までの計92回(1週間に3回)の施術により、両下肢の周囲径および容積の減少、結節性紅斑の炎症反応が軽減、随伴症状(易疲労感、腰痛、下痢など)の改善もみられた。

1.左下腿部の最大減少周囲径と容積の比較

 計92回の施術前後に記録した、左下腿部4点の計測基準点の周囲径計測値を初回計測日から直近の計測日まで各々比較したところ、同日内での治療前後においては、最大減少値が2013年3月2日で下腿最大の部位で-0.5cm、2013年1月12日〜同年3月2日まで時系列の比較では、治療前が足背で-1.2cm、治療後が下腿最大で-0.7cmの改善がみられた。(表1)

 また、左下腿部容積においては、時系列的には480ml以上の容積の減少が常に確認され、2013年1月12日の治療前と、同年3月2日の治療後の容積では580ml以上の減少が確認された。(表2)

 これは、左下腿部で、足部(特に足背部)〜膝部〜鼠径部へのリンパ液の還流、および鼠径〜乳縻槽、鼠径〜腋窩リンパ連絡路への還流が促進され、足部末梢に貯留していたリンパ液の排液が促進されたことをうかがわせる。

2.周囲径計測値の経時的変化

 計92回の施術前後に記録した、左下腿の計測基準点4点の周囲径計測値を、初回測定日から直近の測定日まで、部位ごとの経時的変化に基づき、折れ線グラフで比較した。

2-1.足背部の変化

 初回計測日では、治療後に減少はしたものの、以降の計測日では増加を示した。

2-2.外果部の変化

 初回計測日から直近の計測日まで、治療後に減少があり、特に直近の計測日で顕著に認められた。

2-3.下腿最大部の変化

 初回計測日から直近の計測日まで、治療後にほぼ同じ減少値が認められた。

2-4.膝点部の変化

 初回計測日から治療後に、順次減少がみとめられたものの、直近の計測日で増加を示した。

3.下肢容積値の経時的変化

 周囲径計測値をもとに、左下腿の容積値を表3にて計算し、その結果を経時的に比較してみた。治療後では必ず容積値の減少が認められ、特に初回計測日において最大減少値を示した。

4.初回計測日と直近計測日との両下肢の比較

 初回計測日と直近計測日に撮影した写真の比較では、直近計測日の方が、下腿全体の膨らみが縮小されて、特に伸筋群や腓腹筋、足関節の浮腫が顕著に改善されている様子が分かる。特に左下腿の比較では、結節性紅斑による発赤などの炎症反応を起こしている皮膚の面積が、減少し、下腿全体の色味が本来の皮膚の色に回復してきている様子が分かる。また結節性紅斑の赤味を帯びた色から、黒味を帯びた色への色調の変化も観察された。(図6〜図9)

IV.考察

 結節性紅斑という、臨床的には大変珍しい症例であったが、当症例の場合、原因が不明で発症したこともあり、患者本人が抱える不安は相当なものであったと推察される。

 結節性紅斑の症状緩和のためには、下肢を動かさずに安静にすること。術後の変形性腰椎症に対しては、歩行訓練を推奨され、この矛盾した現状を抱えて、日常の歩行が困難になることを最も患者はじめ家族は危惧した。

 今回の浮腫症状の改善に最も力を発揮したのは、弾性包帯(チューブ包帯)3)による圧迫療法※1である(図10、図11)。同時に、医療徒手リンパドレナージと指圧治療による複合的な施療は、炎症反応の改善や膝・足関節の可動域の拡大に大きく効果をもたらした。

 浮腫症状の軽減は、弾性包帯による圧迫療法および圧迫下での運動療法※2を開始した2012年12月以降に、劇的な変化および改善を示した。現在もその効果は維持されている。

 このように、医療徒手リンパドレナージと指圧治療に加えて、圧迫療法および圧迫下での運動療法を日々の生活に取り入れることで、浮腫症状のみならず、患者自身のADLも高めていける可能性を示唆した。

※1圧迫療法1)

【弾性包帯】日々の状況に応じて巻き直すことができるため、「治療」を目的に行う。
【弾性着衣】治療により改善された状態の「現状維持」または「症状の進行予防」のため着用する。
【段階的な圧バランス】組織間液を中枢方向へ誘導しやすい状態をつくるため、患肢末梢から中枢端に向かい、圧を徐々に緩めていくように調整する。 

※2圧迫下での運動療法

 まずは、簡単な関節の屈伸運動から始めて、徐々に全身を動かしていく。疲れすぎない程度に楽しみながら、継続していける内容が望ましい1)。今回の患者さんには、自宅内での下肢ストレッチや歩行訓練、デイサービス利用時の機能訓練実施時に、弾性包帯の着用を薦めた3)

V.結論

 医療徒手リンパドレナージと指圧治療を複合的に施療しながら、同時に圧迫療法および圧迫下での運動療法を併用することにより、結節性紅斑に伴う浮腫の症状および随伴症状を軽減できる可能性がある。

VI.参考文献

1) 特定非営利活動法人 日本医療リンパドレナージ協会:【臨床総論】「臨床の記録 予診表、所見、周囲径計測表」4〜6、【医療リンパドレナージの実際(基礎編)】「基礎マッサージ・鼠径リンパ節および下肢」16〜17、【臨床各論】「続発性下肢リンパ浮腫の処置」17〜18、「その他の浮腫」28〜30、【圧迫療法】「圧迫療法」1、「弾性包帯」2〜3、【運動療法】1〜3医療リンパドレナージセラピスト初級・中級講習会配布資料、2010 
2) 石塚 寛:指圧療法学,p.150-166, 182, 国際医学出版, 東京, 2008
3) 小川佳宏、佐藤佳代子 共著:浮腫疾患に対する圧迫療法 複合的理学療法による治療とケア, p.54-55, 65-70, 77-80, 150-153, 156-163, 文光堂, 東京, 2008
4)T.Yamamoto.et al:Lymphology,41; p.80-86, 2008
5) Casley-Smith JR:Lymphology,27;p.56-70, 1994


【要旨】

指圧とフェルディ式リンパドレナージによる結節性紅斑へのアプローチ
中盛祐貴子

 変形性腰椎症が引き金となり発症した、結節性紅斑により引き起こされる炎症反応や関節の腫脹、浮腫症状をもつ患者に対し、「フェルディ式複合的理学療法」と「指圧治療」の両者を併用して施療を行ない、加えて圧迫療法と圧迫下での運動療法を行なった。これらを左下肢4点の計測基準点の周囲径計測値および下肢容積の変化で評価した。その結果、2点の周囲径計測値と容積が減少した。よって、医療徒手リンパドレナージと指圧治療を複合的に施療した上で、圧迫療法と圧迫下での運動療法を加えることにより、結節性紅斑による浮腫症状および随伴症状を軽減できる可能性がある。

キーワード:結節性紅斑、浮腫、リンパドレナージ、指圧、圧迫療法



大腿後面への指圧施術による FFDの変化について:星野喬一、日比宗孝、山本恭子

星野 喬一, 日比 宗孝, 山本 恭子
日本指圧専門学校
指導教員:黒澤一弘
日本指圧専門学校教員

Finger-Floor Distance (FFD) changes due to Shiatsu treatment
of the posterior femoral region

Kyoichi Hoshino, Munetaka Hibi, Kyoko Yamamoto, Kazuhiro Kurosawa

Abstract : Standing forward flexion changes due to Shiatsu stimulation of various regions have been verified and reported. Building on the past results, we researched standing forward flexion changes due to shiatsu stimulation of the posterior femoral region. The research was conduced on 29 healthy subjects, and standing forward flexion was significantly improved by shiatsu stimulation of the right and left posterior femoral region for 3’ 30’’ compared to the non-stimulation group. This result indicated that shiatsu stimulation of the posterior femoral region eases tense hamstring muscles and improves flexibility.


I.はじめに

 指圧刺激による立位体前屈値の変化について、これまで様々な部位への刺激検証及び報告が行われている。1) – 6)

 田附らの報告3)は、殿部・下肢後側への指圧刺激によって立位体前屈が優位に改善されている。一方、廣田ら4)は、殿部のみへの指圧刺激によって立位体前屈に優位な変化は見られなかったと報告している。

 これらの報告を踏まえ、今回我々は、指圧刺激部位を大腿後面のみとした場合、立位体前屈値にどういった変化があるかを測定・検討したので、ここに報告する。 

II.実験方法

1.対象

 対象は本校学生及び教職員の健常者29名(男性16名、女性13名、平均30.55±8.71歳)で、事前に十分な実験内容の説明をして同意を得た上で行った。

2.実験期間・場所

 2013年6月17日から7月6日まで、本校の第一実習室で行った。実験環境は室温25.93±0.74℃、湿度54.48±4.94%であった。

3.計測方法

(1)FFD(指床間距離)の計測

 FFD計測用のスケール(ヤガミ社製、1mm刻み)を台座(高さ41cm、幅44.5cm、奥行き90cm)に固定して使用した。

 台座前端のスケール固定位置に母趾趾尖を揃えて直立した状態から立位体前屈を行い、指尖で押し下げられた計測用目盛りを目視にて計測した。

(2)立位体前屈位の撮影(デジタルカメラによる撮影)

 立位体前屈位での姿勢を、デジタルカメラ(富士フィルム社製FinePix F11)により以下の通り撮影した。肩峰突起、大転子にランドマークのシールを貼りマーキングした。天井から鉛円錐のついた紐(以下、鉛直線)を2本たらし、その間にFFD計測の台座を垂直に設置した。台座の右側方から、前後の鉛直線が重なるアングルにデジタルカメラを三脚にて固定、設置して撮影した。

4.刺激方法

(1)刺激部位

 仰臥位にて、浪越式基本圧点の大腿後面10点を重ね母指圧にて刺激した。

 大腿後面10点は坐骨結節直下を1点目とし、膝窩横紋の手前まで10点取る。ハムストリングスや坐骨神経を指標とする。(図1)

(2)刺激時間・方法

 刺激時間は大腿後面10点の1点目を1点圧3秒3回行い、その後、1点圧3秒、10点3通り行い、左右で約3分30秒行った。圧刺激は通常圧法(漸増、持続、漸減)にて快圧(被験者が心地よいと感じる程度の圧)にて実施した。7)

図1. 大腿後面部10点

図1. 大腿後面部10点

5.実験手順

 被験者に対し、事前に実験内容を説明し同意を得た上で、指圧刺激をするもの(以下、刺激群)と、指圧刺激をしないもの(以下、無刺激群)の2種類の実験を、日を変えて行った。

(1)刺激群

 以下の手順で行った。

① 仰臥位にて3分間安息。
②FFD計測用の台座の上で直立姿勢をとり、右側面からカメラ撮影。
③FFDを測定。FFD最大位の姿勢を右側面からカメラ撮影。
④ 指圧刺激。
⑤ 仰臥位にて3分間安息。
⑥FFDを測定。FFD最大位の姿勢を右側面からカメラ撮影。

(2)無刺激群

 以下の手順で行った。

① 仰臥位にて3分間安息。
②FFDを測定。
③ 指圧刺激の代わりに伏臥位にて3分30秒間安息。
④ 仰臥位にて3分間安息。
⑤FFDを測定。

実験手順

6.統計処理

 FFDの改善値(刺激後の計測値から刺激前の計測値を差し引いた数値)について、対応のあるt検定により比較を行った。

III.結果

1.FFDの改善値について(図2)

  無刺激群での改善値0.96±0.27cm(mean±SE)に対して、刺激群での改善値2.37±0.46cmとなり有意差が見られた(p<0.007)。

図2. 無刺激群及び刺激群でのFFD改善値

図2. 無刺激群及び刺激群でのFFD改善値

IV.考察

 本研究は、大腿後面に対する指圧刺激による立位体前屈値の変化を検討するものであった。測定値を分析した結果、刺激群においてFFDの値が無刺激群に比べ優位に改善された。この結果は、浅井ら1)、衛藤ら2)、田附ら3)の研究と同等の結果である事から、再現性の高い現象であると言える。

 本研究の刺激対象部位である大腿後面には、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の3つの筋で構成されるハムストリングスがある。大腿二頭筋長頭、半腱様筋、半膜様筋は坐骨結節を起始部としており、大腿二頭筋短頭のみ大腿骨粗線の下1/2に位置する外側顆稜線から起始している。

 半腱様筋は脛骨の前方内側、半膜様筋は脛骨の前方外側に停止し、大腿二頭筋は脛骨外側顆と腓骨頭に停止している。立位体前屈では股関節屈曲、膝伸展となり、ハムストリングスが伸張されるため、ハムストリングスの柔軟性は立位体前屈の影響因子であると言える。

 ハムストリングスは、立位姿勢の保持や正常な歩行、しゃがみこんで物を取るような動作の際に働いており、日常生活の中でも多く活動している。その為、緊張しやすく柔軟性が失われやすいと考えられる。今回、大腿後面への指圧刺激によってFFDの値が改善したのは、ハムストリングスの緊張が改善され、柔軟性が上昇した為と考えられる。

 今回の研究では大腿後面のみを刺激対象としたが、殿部から下腿後面までを刺激対象とした研究においてFFDの改善が見られていること、殿部のみを刺激対象とした研究4)においてFFDの改善が見られなかったことから、下腿後面のみに指圧刺激を行った場合のFFDの改善の有無を検討する必要がある。

 また、股関節の屈曲筋である腸腰筋や大腿直筋に対するアプローチも今後の検討課題である。

V.結論

 健常者29名を対象とした大腿後面への指圧刺激により、FFDの改善値において、無刺激群と比較して、刺激群で有意な変化が見られた。

VI. 参考文献

1) 浅井宗一 他:指圧刺激による筋の柔軟性に対する効果, 東洋療法学校協会学会誌(25), p.125-129, 2001
2) 衛藤友親 他:指圧刺激による筋の柔軟性に対する効果(第3報), 東洋療法学校協会学会誌(27), p.97-100, 2003
3) 田附正光 他:指圧刺激による脊柱の可動性及び筋の硬さに対する効果, 東洋療法学校協会学会誌(28), p.29-32, 2004
4) 廣田哲也 他:殿部指圧刺激による骨盤傾斜に及ぼす影響, 東洋療法学校協会学会誌(33), p.104-108, 2009
5) 宮地愛美 他:腹部指圧刺激による脊柱の可動性に対する効果, 東洋療法学校協会学会誌(29), p.60-64, 2005
6) 吉成圭 他:鼠径部指圧刺激が脊柱可動性に及ぼす効果, 東洋療法学校協会学会誌(32), p.18-22, 2008
7) 石塚寛 他:指圧療法学, p.92, 国際医学出版株式会社, 東京, 2008


【要旨】

大腿後面への指圧施術によるFFDの変化について

星野 喬一, 日比 宗孝, 山本 恭子, 黒澤 一弘

 指圧刺激による立位体前屈値の変化について、これまで様々な部位への刺激検証及び報告が行われているが、今回我々は、大腿後面への指圧刺激が立位体前屈値に及ぼす変化について測定した。健常者29名の被験者に左右の大腿後面へ3分30秒の指圧刺激により、無刺激群に比べ立位体前屈値が優位に改善された。よって大腿後面への指圧刺激はハムストリングスの緊張を改善し、柔軟性を向上させることが示唆される。

キーワード:指圧、ハムストリングス、FFD、立位体前屈



東京夢舞いマラソン 指圧ボランティアアンケート報告(第2報):衛藤友親、永井努、石塚洋之

衛藤 友親
明治大学 体力トレーナー
永井 努
永井指圧治療院 院長
石塚 洋之
日本指圧専門学校 専任教員


Survey by questionnaire about volunteer Shiatsu at Tokyo Yumemai Marathon
 (The second report) : a survey report

Tomochika Etou, Tsutomu Nagai, Hiroyuki Ishizuka

Abstract : Following the survey report of the 12th Tokyo Yumemai Marathon, we conducted a survey in the form of a questionnaire at the Kagurazaka Station of the 13th Tokyo Yumemai Marathon using VAS (Visual Analogue Scale). About 97% of the respondents answered that the degree of fatigue or pain were reduced after the shiatsu treatment. Although there were some different conditions such as the weather and the number of questionnaires collected, the percentage was almost same as the last report. The number of cases with fatigue and / or pain in left leg was, however, lower than the last. It is necessary to discuss efficacy and effectiveness of shiatsu in sports fields by reviewing a format of the questionnaire and its implementation methods.


I.はじめに

 健康の保持・増進や体力の向上のみならず、ランニングを通じた人間関係を楽しむためにジョギングやマラソンを行う人は多い。

 マラソン大会に参加した市民ランナーに対し指圧を施した場合、ほとんどの人の痛みや疲労の自覚症状が改善されたのは既報の通りである。

 今回も同じ場所、同じ手法を用いてアンケート調査を実施したのでここに報告する。

II.日時

 2012年10月7日(日)

III.場所及び対象

 第13回東京夢舞いマラソン参加者中、神楽坂エイドステーション(スタートから33.892km地点)にて指圧を受け且つアンケートに回答した一般成人88名(男性57名、女性31名)。

IV.方法

 A4版両面印刷のアンケート用紙(図1,2)を用い、施術前と施術後の疲労および痛みの度合いを100mm(=100ポイント)の長さのVAS(visual analogue scale)にて、また、疲労を感じる部位並びに痛みを感じる部位を、身体イラストに丸印を記入する形式で回答して戴いた。

 尚、指圧はランナーの主訴に応じて5〜15分の間で浪越式基本指圧を中心に行った。

アンケート用紙

図1. 施術前アンケート用紙

図1. 施術前アンケート用紙

図2. 施術後アンケート用紙

図2. 施術後アンケート用紙

III.結果

 VASにて疲労および痛みの度合いが減少したのは88名中85名(97%)、増加したのは3名(3%)、変化がなかったのは0名(0%)であった。

 疲労および痛みの度合いが減少した例の平均ポイントは37ポイント、増加した例の平均ポイントは4ポイントであった。

 疲労および痛む部位でもっとも多かった回答は下腿後側左、次いで下腿後側右であった。尚、部位の回答は複数回答可のため、延べ434個所だった。

 

表1. 部位別主訴件数の左右差

表1. 部位別主訴件数の左右差

VI.考察

 今回の結果は前回の結果と比べ、主訴の多い順位や割合に大きな変化はなかったが、主訴件数の左右差は左が多かった部位が15部位から10部位に減少した。

 この原因は当日の天候が雨天だったため、より熱心なランナーが参加し、比較的ライトなランナーが不参加だったためではないかと推察する。

 根拠として、熱心なランナーほどコースの取り方やピッチによって下肢への負担が変わってくる1)ことを熟知している場合が多く、雨天のためにそのような障害予防の意識の高いランナーがスクリーニングされていた可能性が高いことが挙げられる。

 このような参加者自身の資質が結果に反映される可能性を考慮して、今後は回答用紙に競技年数の項目を追加するなど調査用紙の工夫が必要である。

 他方、天候やアンケート回収数が違うにもかかわらず、VASによる疲労および痛みの度合いが減少した例の割合とその平均ポイントは前報2)とほぼ変わっていない。

 これは指圧が対象や天候に関係なく一定の効果を出せることを示唆しており、そのメカニズムを含め今後更なる精査を進めていきたい。

VII.おわりに

 今後はより規模の大きな大会での調査を目指すべく、これまでの反省も踏まえて準備をしたい。また、施術地点や実施方法の抜本的な見直しも視野に入れ、スポーツ場面における指圧の有効性を模索したい。

VIII.参考文献

1) 川島敏生著, 栗山節郎監修:ぜんぶわかる筋肉・関節の動きとしくみ事典, p. 153, 成美堂,東京, 2012
2) 衞藤友親他:東京夢舞いマラソン指圧ボランティア報告, 日本指圧学会誌(1), p.33, 2012


【要旨】

東京夢舞いマラソン指圧ボランティアアンケート報告(第2報)
衛藤 友親, 永井 努, 石塚 洋之

 第13回東京夢舞いマラソン神楽坂エイドステーションにてVASを用いたアンケート調査を前回(第12回)に続き実施した。天候・アンケート回収数等の違いがあったが、VASにて疲労および痛みの度合いが減少した割合は前回同様およそ97%であった。しかし左側に疲労・痛みを訴えた件数は前回より減少した。調査用紙や実施方法を見直し、スポーツ場面における指圧の有効性を模索する必要がある。

キーワード:疲労軽減、スポーツ指圧、左右差



指圧療法にて肩関節可動域が改善した 石灰沈着性腱板炎の1症例:金子和人

金子 和人
バーディー指圧治療院 院長

Shiatsu treatment for scapulohumeral periarthritis: a case report

Kazuto Kaneko

Abstract :Aiming at releasing tension of muscles consisting rotator cuff and periarticular muscles in order to alleviate the pain and improve the range of joint motion, Shiatsu treatment was provided for a patient of scapulohumeral periarthritis. After seven sessions of Shiatsu treatment, the range of joint motion was consequently improved. This case suggested the potential of Shiatsu treatment to improve flexibility and the decreased range of joint motion caused by scapulohumeral periarthritis.


I.はじめに

 筆者は、肩関節周囲炎の患者1例の経過観察し、疼痛と関節可動域が改善した例を報告した1)。しかし、継続して経過を観察していく中で、疼痛および関節可動域の改善がある一定の段階からみられなかったことから、同症例に整形外科の受診を勧めた。

 整形外科での画像診断の結果、同症例は、石灰沈着性腱板炎であるとの診断を受けた。その際、医師より投薬による疼痛管理と共に、更なる疼痛の軽減および関節可動域拡大を目的として指圧療法を併用する助言を頂き、引き続き継続して経過観察を行った。その結果、関節可動域の改善がみられたので報告する。

II.対象及び方法

[症例]

 60代男性 建築士

[現病歴]

 一年前からゴルフプレー中に左肩があがらなくなった。接骨院を受診し低周波電気治療、極超短波温熱治療、運動療法など治療を受けるが改善しなかった。ゴルフプレーに支障がないような状況にするため、2012年6月から当院を受診する。指圧療法を継続し、外転角度が約90°までは改善したが、それ以上の改善が思うようにいかなかったため、2013年1月24日に整形外科を受診した。

 その結果、石灰沈着性腱板炎と診断されたが、医師に指圧療法との併用を勧められ、継続して治療を行うことになった。

[既往歴]

 腰椎椎間板ヘルニア

[家族歴]

 特になし

[検査所見]

  • レントゲン検査所見:異所性骨化、上腕骨大結節 棘上筋腱に石灰沈着がみられた。
  • 血液検査所見:炎症反応を認めた。
  • MRI所見:肩関節包の委縮による滑液不足、棘上筋腱の石灰沈着が見られる(腱断裂は見られない)。肩関節包の委縮が見られる。
図1. 肩関節のX線画像所見

図1. 肩関節のX線画像所見

図2. 肩関節のMRI画像

図2. 肩関節のMRI画像

[理学検査所見]

  • 外転、外旋、内旋、伸展、障害有り(外転90度 屈曲100度)。

[治療方針]

 腱板を構成する諸筋及び肩関節周囲の筋緊張を除去し、疼痛と関節可動域の拡大を図る。

※ ただし棘上筋腱に石灰沈着があり正常な状態より腱が痩せているために過度の刺激を行うと腱の断裂につながるために細心の注意が必要である。

III.結果

2013-2-3

  • 2013.1.24、2013.2.14に整形外科にて関節包内ヒアルロン酸注射を受ける。
  • 2013.2.2に内服薬セレコックス ミオナール ガスロンNの処方を受ける。
  • 指圧治療:ローテーターカフ部分に重点を置く局所治療。
    ※ 棘上筋、棘下筋、小円筋、特に肩甲下筋は入念に施術する。
  • 術後所見:外転90度 屈曲100度

2013-2-11

  • 指圧治療:ローテーターカフ部分に重点を置く局所治療。
  • 術後所見:外転95度 屈曲120度

2013-2-16

  • 指圧治療:ローテーターカフ部分に重点を置く局所治療
  • 術後所見:外転80度 屈曲110度

2013-2-18

  • 整形外科を受診し、関節包内ヒアルロン酸注射を受ける。
  • 指圧治療:胸鎖関節から肩鎖関節の周辺および肩甲骨外側縁周辺に重点を置く全身施術を行う。
    ※ 整形外科受診後の来院で注射直後のため関節包付近には触れなかった。
  • 術後所見:外転100度 屈曲120度に改善

2013-3-8

  • 2013.3.5に整形外科を受診し関節包内ヒアルロン酸カルボカイン注射を受ける。
  • 頸部、胸部、腰背部に重点を置く全身施術を行う。
  • 術後所見:外転100度 屈曲120度
図3. 肩関節外転可動域(2012-07-29)

図3. 肩関節外転可動域(2012-07-29)

図4. 肩関節外転可動域(2013-03-22)

図4. 肩関節外転可動域(2013-03-22)

IV.考察

 本症例は、筆者が肩関節周囲炎と判断し指圧療法を行った症例である。しかしながら、経過観察を続ける中である一定以上の症状の改善が認められなかったため、整形外科にて画像診断を行った結果、石灰沈着性腱板炎との診断を受けた。

 整形外科の領域において、肩関節周囲炎や五十肩、凍結肩、癒着性関節包炎などは微妙なニュアンスの違いはあるものの、ほぼ同義で使われているのが現状であるが、五十肩と鑑別すべき疾患として石灰沈着性腱板炎が挙げられている2)。石灰沈着性腱板炎に対しては、急性期には石灰穿刺による局麻剤や水溶性ステロイドの注入、慢性期には局麻剤やステロイドの肩峰下腔内注射などを用い、鎮痛処置を行い、それでも奏功しない症例に対しては、関節鏡視下石灰除去術などの手術療法が行われている3)

 今回の症例は、X線検査およびMRI検査の所見で石灰の沈着がみられたため(図1、図2)、肩関節周囲炎や五十肩の病態とは一線を画すものであったと考えられる。そのため、経過において疼痛や関節可動域のスムーズな改善がみられなかったと推測することができる。

 しかしながら、来院当初の肩関節の外転可動域(図3)が指圧療法を継続する中で約90°程度に改善され、整形外科受診後に関節包内ヒアルロン酸注射や消炎鎮痛剤と指圧療法の併用で治療を進めるようになってからは、さらに外転可動域が広がっている(図4)。腱板を構成する筋や肩関節周囲の筋の柔軟性の向上を目的として指圧療法を行ったことを考えると、本症例は石灰沈着性腱板炎に肩周辺の筋緊張が加わり、関節可動域の低下をもたらした症例であると考えることができる。

 整形外科受診後の可動域改善に関しては、整形外科における治療効果もあると考えられるため、一概に指圧療法の効果であるとは言い難い側面もある。しかし、少なくとも整形外科受診前までの関節可動域改善が、指圧療法の効果である可能性は否定できないと考える。今回収集した情報から可動域改善に関与した関節や筋の要素を断定して論じることはできないが、筋の柔軟性が指圧刺激により改善することが菅田ら4)により報告されていることから、今回の関節可動域の改善は筋の柔軟性の改善が関与しているものと考えられる。しいて言えば。行った指圧療法の内容から、腱板を構成する筋や肩関節周辺の筋の柔軟性が向上したことにより、肩甲骨の可動性が広がったことが一要因になっていると推測する。

V.結論

 石灰沈着性腱板炎は肩関節周囲炎からは除外して考えるべき疾患である。しかしながら、画像診断を行う前に来院するケースも多く、その識別は困難である。そのため、理学検査および経過観察を詳細に行い、必要であれば医療機関の受診を勧め、画像所見を得ることも大切であると考える。

 今回の症例は、石灰沈着性腱板炎と腱板および肩関節周辺の筋の筋緊張により肩関節可動域が狭小化した例であり、指圧療法により筋緊張の緩和がなされ、肩甲上腕リズムを改善することで肩関節可動域の拡大および疼痛の軽減ができたと考えられる

VI.参考文献

1) 金子和人:肩関節周囲炎に対する指圧治療,日本指圧学会誌(1), p.35-37, 2012
2) 玉井和哉:特集五十肩を理解する 基礎的情報病態・診断, 関節外科11(30),p.14-19, 2011
3) 名越充:肩石灰性腱炎の診断と治療, MB orthop 25(11), p.67-72, 2012
4) 菅田直記 他:指圧刺激による筋の柔軟性に対する効果, 東洋療法学校協会学会誌(26), p.35-39, 2002


【要旨】

指圧療法にて肩関節可動域が改善した石灰沈着性腱板炎の1症例
金子 和人

 前報で報告した肩関節周囲炎の患者は、医療機関におけるX線およびMRIの所見から石灰沈着性腱板炎であると判明した。整形外科領域において肩関節周囲炎から除外する疾患として、石灰沈着性腱板炎が挙げられている。本症例においてある一定以上の効果があがらなかったのは石灰沈着性腱板であったことが一要因である考えられる。しかし、石灰沈着性腱板炎と判明する以前の肩関節の関節可動域制限は、指圧療法を行うことで改善がみられた。そのため、本症例は石灰沈着性腱板炎に腱板や肩関節周辺の筋の筋緊張が加わり、関節可動域制限を起こしていたと考えられる。このようなケースでは、十分な評価に基づき指圧療法を行うことが重要であると考える。

キーワード:石灰沈着性腱板炎,指圧療法,関節可動域の改善



花粉症(季節性アレルギー鼻炎) に対する指圧療法:長谷川有基

長谷川有基
MTA指圧治療院

Shiatsu therapy for hay fever (seasonal allergic rhinitis)

Yuuki Hasegawa

Abstract : Building on the recent reports indicating that shiatsu therapy has the potential to ease symptoms of atopic dermatitis, a research was conducted to determine the effects of shiatsu therapy on hay fever, which is classified into type I allergy. Through observation of three patients regularly treated by shiatsu, it was found that ratings of Visual Analog Scale were generally lowered, and eye itchiness and nasal congestion were especially relieved after the treatments. Also, there was a case where a patient succeeded in reducing the dose of prescription medication with controlling symptoms. Regarding these three cases, there was a tendency that the more recent they developed hay fever and the milder symptoms they have, the more effective shiatsu therapy was. These results indicated that regular shiatsu therapy may relieve symptoms of hay fever.


I.はじめに

 金子によるアトピー性皮膚炎に対しての指圧治療が改善の可能性をうかがわせた1) ことから、同じⅠ型アレルギーの他疾患には指圧施術がどう影響するのか関心があった。そこで、より一般的であろう花粉症を標的に週1回の定期的な施術でどう変化するか見ることを目的に施術を行った。

 花粉症(季節性アレルギー鼻炎)の中等症・重症例では適切な薬物療法に関わらず鼻炎のコントロールが難しい例がある。またなるべく薬を使いたくないと思う患者も一定数はいると考える。指圧療法も選択肢の一つとして利用できるならば、そういった方々への対応の幅も広がると考える。

II.対象、方法

[対象者]

  • 症例1. 34歳男性
  • 症例2. 25歳女性
  • 症例3. 40歳女性

[方法]

 仰臥位での頚部および仰臥・腹臥位での上下肢・腹部・背部に指圧施術を行った。記載がなければ1回1時間を目安に施術を行った。

 施術の時間帯は概ね同一になるように実施した(およそ19:45〜21:30)。

[期間]

 2013年3月上旬〜5月上旬まで(個別の期間は各々を参照)。

 各被験者にどれ位で症状が自然に消退するかを尋ねたところ、ゴールデンウィークを過ぎた頃から落ち着くとの事であった。時期が過ぎて症状が落ち着いたものと、施術によって症状が落ち着いたものとを分けるため、長くとも上旬までとした。

[評価項目]

  • 自覚する症状の変化
  • VAS…今迄で一番辛かったときを10、無症状を0として自己申告の値を記録した。

 客観性に欠けるが、前述のように目的はどう変化するか経過を見ることであり、それには患者本人の主観も大切であること、血液検査などの手段を持たないことから、簡易ではあるがこの2つとした。

III.結果

 術前は前回の施術からの経過や気付いたこと、術後は施術直後の変化や感想を記載した。

●症例1 34歳男性

[期間]

 3月8日〜4月19日 全6回

[現病歴]

 大学時代より。鼻閉、目のかゆみ、充血がある。目の周囲が腫れぼったく顔が熱い。今年はひと月ほど前より自覚している。鼻閉で眠れないときや仕事に支障のある増悪時のみ市販薬(目薬、吸入薬)を使用している。酷いと熱が出て、頭がぼうっとする。

[家族歴]

 兄:花粉症

[自覚症状]

  • 目のかゆみ、充血、周囲の腫れ
  • 鼻漏、鼻閉
  • 顔の熱感

[経過]

初回(2013.3.8)VAS3→3

術後:身体が楽になり、症状が気にならなくなった。鼻の通りがよくなった。顔が弛む感じがある。

2回目(2013.3.15)VAS8→6

術前:天候と施術、どちらによるものかは不明だが、若干調子はいい。
熱っぽい、ボーっとする。睡眠不足。通常6時間だが、このところ4.5〜5時間位。夜間鼻づまりで目が覚める。
術後:片側の鼻づまりが取れた。目のゴロゴロ感が取れ、かゆみもない。

3回目(2013.3.22)VAS8→5

術前:3日前より腰痛がある。ここ何日か鼻が詰まる。
術後:鼻の通りがいい。いつも施術あとで鼻が通る。腰痛は改善した。

4回目(2013.3.30、45分)VAS6→4

術前:一昨日より、寝過ぎで腰が痛い。一昨日夜より熱、38度。風邪だと思う。目のかゆみはない。施術翌朝非常に楽。その状態が2日位持つ。
術後:鼻の通りがすごくよい。うつ伏せで多少鼻が詰まる感じがある。顔が弛む感じがする。

5回目(2013.4.6)VAS5→3〜4

術前:前回後、2〜3日楽だった。鼻づまりが少しずつなくなってきている。以前より深く眠れるようになった。最近鼻より目のかゆみが気になる。定期的にくしゃみが出る。
術後:今迄で一番楽な感覚。すっきりしている。

6回目(2013.4.19)VAS6→4〜5

術前:くしゃみ、鼻水が出るが、3月より症状が落ち着いている
術後:鼻どおりがいい

●症例2 25歳女性

[期間]

 3月11日〜4月12日 全4回

[現病歴]

 初発は一昨年で、1日だけ花粉症と思われる症状があった。去年は睡眠時のくしゃみなどが酷かったが、その原因は降りてきた埃だと推測している。去年迄は目のかゆみ、異物感の程度は軽かった。今年は目のかゆみが強い。鼻水、鼻づまりは朝に強いが、ないときもある。かゆみのピークが2日前にあり、横から見ると白目が黒目より突出していると友人に指摘された。

[自覚症状]

  • 目のかゆみ、特に内側が強い
  • くしゃみ、鼻漏、鼻閉

[経過]

初回(2013.3.11、90分)VAS3→1

術前:かなり疲れている。
術後:目のかゆみ消失した。首の施術後、鼻漏・鼻閉は消失したが、他部位施術中に再び出現した。

2回目(2013.3.18、75分)VAS2〜1→0

術前:前回翌朝、目のかゆみあったが、2〜3日後消失。周囲の人には花粉症状が出ているが、自分は出ていない。身体が温かい。鼻水、痰が出る(業務上使用する塩素が原因の可能性もある)。2日前より首が痛い。疲労を感じる。
術後:頭が重く、ふらふらする。施術中鼻水が出たが、終了後は鼻が通った。

3回目(2013.3.25)VAS0→0

術前:周囲の花粉症の人は鼻水が凄いが、全く平気。金曜〜土曜頃になると多少症状が出る。術後:(特筆すべき変化なし)

4回目(2013.4.12)VAS0→0

術前:施術の日は寝つきが良い。前回10日後位にくしゃみが出たが、程度が軽く、以後は出ていない。他の人は花粉が辛い様子が伺える。
術後:施術中の鼻づまり全くなかった

●症例3 40才女性

[期間]

 4月1日〜5月9日 全5回

[現病歴]

 2年前発症。それまでアレルギーなかった。病院にて血液検査の結果、杉のみ陽性であった。日中は点眼(フルメトロン点眼液0.1%、パタノール点眼液0.1%)、夜は錠剤(ポララミン錠2mg、セレスタミン配合錠)各2錠を使用。コンタクトが辛く、めがねを使うときもある。耳が痛むことがあり、耳鼻科にて鼻のかみすぎと診断された。症状が強くなくとも、悪化への恐怖から予防的に薬を使用してしまう。

[自覚症状]

  • くしゃみ、鼻漏
  • 目のかゆみ、腫れ、流涙、目ヤニ

[経過]

初回(2013.4.1)VAS6→6

術後:身体が非常に軽い。目のかゆみが消失した。腹臥時、鼻水出てきて鼻が詰まった(施術前は通っていた)。

2回目(2013.4.8)VAS5→0〜1

術前:目頭がかゆい。コンタクトが乾く。前回後、金曜まで症状が気にならなかった。よく眠れ、身体が温かかった。首筋〜肩にかけてコリをよく感じる。土日仕事でずっとPCを使用していた。
術後:目のかゆみが消失した。脱力感がある。全身内側から暖かい感じがする。腹臥時、鼻が詰まった。

3回目(2013.4.15)VAS5→3〜4

術前:洗顔時、手触りがツルツルしている。肌が綺麗になっている感じがある。前回後、調子がとても良かったので薬を月曜夜と火曜朝使わなかったら、くしゃみが止まらず、目もかゆい。薬を飲むとくしゃみは抑えられたが、かゆみは取れない。
術後:目のかゆみ消失。四肢末端が温かい。以前より圧が奥まで入る感覚がある。

4回目(2013.4.22)VAS2→0

術前:夜の薬を各一錠に減らしてみたが、調子がいい状態を保てている。かゆみが軽減している。目の腫れ・流涙・くしゃみ・鼻漏は消失している。
術後:身体が軽く、首周りが若干柔らかくなった感がある。施術中、両手が温かくなる。

5回目(2013.5.9)VAS4→2〜3

術前:前回施術10日後位の風が強い日、くしゃみ、目ヤニが酷かった。同時期、肌荒れが再び気になりだした。薬は各一錠のまま。
術後:両手が温かくなる。かゆみが消失した。

[施術日とVAS]

症例1

  • 初回 (3月8日 金) 3→3
  • 2回目 (3月15日 金) 8→6
  • 3回目 (3月22日 金) 8→5
  • 4回目 (3月30日 土) 6→4( 45分)
  • 5回目 (4月6日 土) 5→3〜4
  • 6回目 (4月19日 金) 6→4〜5

症例2

  • 初回 (3月11日 月) 3→1(90分)
  • 2回目 (3月18日 月) 2〜1→0(75分)
  • 3回目 (3月25日 月) 0→0
  • 4回目 (4月19日 金) 0→0

症例3

  • 初回 (4月1日 月) 6→6
  • 2回目 (4月8日 月) 5→0〜1
  • 3回目 (4月15日 月) 5→3〜4
  • 4回目 (4月22日 月) 2→0
  • 5回目 (5月9日 木) 4→2〜3

IV.考察

 今回、3名の協力のもと、数回の施術を実施した。歴が浅く症状が軽めの方、歴が浅く症状が強めの方、歴が長く症状が強い方の3名である。症例数・施術回数ともに少ないのでこれだけで判断はできないが、少なくともこの3例では、個人差はあるものの、施術直後の改善だけでなく施術前の問診でも、回を重ねる毎に自覚する症状は少しずつ改善する傾向にあると考えられる。

 施術後の変化では目のかゆみと鼻通りがよく挙げられた。施術の時間帯が夜であり、アレルゲン曝露6〜10時間経過していることを考えると施術前の鼻閉は遅発相の可能性も考えられる。

 3例を比較すると、歴が浅く症状が軽いほど良好な反応が得られた。1例目では改善の度合いが思わしくないものの、10年以上の罹患期間を考慮すると、妥当とも健闘しているとも考えられる。2例目では以後症状が殆どなくなったと報告を受けた。それぞれ最後の施術に注目すると、症状が落ち着く前に間が空いてしまうと少しずつ症状が盛り返しているようにも見える。症状出現以前から始めていたり、もう少し長い期間や回数を施術していたら違った結果になるとも考えられる。

 施術者の感覚や技術、圧の強さや方法、被験者の心理状態など一定にできない要素もあり、それらによっても結果は変わってくる可能性は十分ある。特に心理的要素は花粉症だけでなくアレルギー全般に大きく関与していることが指摘されている2)

 アレルギー性鼻炎で見られる3主徴は、くしゃみ発作、水様性鼻漏、鼻閉だが、大量の抗原に曝される花粉症では他にも、眼症状(季節性アレルギー性結膜炎[杉ではほぼ必発]:掻痒感・流涙・異物感・眼痛)、口腔症状(口腔乾燥、味覚障害、口腔アレルギー症候群[OAS])、

咽頭症状(異常感、掻痒感、咳など)、皮膚症状(浮腫性紅斑、アトピー性皮膚炎の増悪)、全身症状(頭重感、倦怠感、うつ状態、発熱、頭痛など)の出現もある。これらの症状は抗原そのものが障害を起こす以外に、鼻呼吸障害の結果として誘導されるもの、治療薬による副作用もあるようだが3)、いずれにせよ非常に煩わしくQOLを低下させると考える。これらの症状に伴う睡眠障害はQOLをさらに低下させる上、疲労の蓄積から花粉症状の更なる悪化へと連鎖する。日常生活以外に労働生産性への影響の指摘もある4)。また「小児スギ花粉への感作は、早い児では生後2シーズンで成立」5)との記載もあり、たかが花粉症と侮れない面もある。

 季節性アレルギー鼻炎の治療は、減感作療法、薬物療法、手術療法がある。主となる薬物療法の目標は治癒ではなく、重度を中等度に、中等度を軽度にと、症状を軽減していくことにある。

 症例3では、薬の量を半減させても症状が気にならなかったと報告された。薬の血中濃度などは判らないが、元々2錠飲んでいても症状が辛かったことを考慮すると、指圧療法を併用することで、薬物療法の効果を高められたり、症状の軽減に寄与できる可能性がある。

 なお事後報告であったので行えなかったが、薬の減量については本来、耳鼻科担当医とも相談しながら徐々に行ったほうがよいだろうと付記しておく。

V.結論

 花粉症に対して今回の3例においては、VAS値変化や感想から、病歴が浅く症状が軽いほど自覚の症状がより軽減された。

 また、ある程度の間隔で施術を続けたほうがより症状を抑えられる可能性がある。

VI.参考文献、引用文献

1) 金子泰隆:アトピー性皮膚炎に対する指圧治療, 日本指圧学会(1), p.2-5, 2012
2) 一般社団法人日本アレルギー学会編 臨床医のためのアレルギー診療ガイドブック, p.514, 診断と治療社, 東京, 2012
3) 内科学 第9版, p.1126-1127, 朝倉書店, 東京, 2007
4) 南由優、塩崎由梨ほか:スギ花粉症患者の労働生産性と症状・QOLの関連−2008年と2009年の比較−, 日本鼻科学学会誌, p.481-489, 2010
5) 一般社団法人日本アレルギー学会編 臨床医のためのアレルギー診療ガイドブック, p.207, 診断と治療社, 東京, 2012


【要旨】

花粉症(季節性アレルギー鼻炎)に対する指圧療法
長谷川有基

 指圧治療がアトピー性皮膚炎改善の可能性を伺わせた報告を踏まえ、指圧治療がⅠ型アレルギーに分類される花粉症に与える影響を観察、検討した。3名に対して定期的に指圧治療を行った結果、全体的にVAS値は軽減する傾向にあり、施術前後の変化では目のかゆみと鼻詰まりの改善がとくに大きかった。また、症状を抑えつつ処方薬の減量ができた例もあった。今回の3例においては、罹患歴が短いほど効果が現れやすく、症状が軽いほど効果が現れやすい傾向にあり、定期的な施術で症状が改善していく可能性が示唆された。

キーワード:アレルギー、花粉症、季節性アレルギー鼻炎、指圧



随筆:花粉症施術の周辺事項:長谷川有基

長谷川有基
MTA指圧治療院

 一つテーマを決めて施術をして纏めるのはこんなにも大変かと思ったが、その分普段考えないようなことを考えることも色々とあった。個人的な考えが多く含まれるので、本文とは別に書いておきたい。

 施術にあたり、頚部と腹部を特に意識した。鼻閉は鼻粘膜の浮腫により鼻腔内が狭まった状態にある。主に血管透過性の亢進によるのだろうが、頚動脈鞘周りを弛めてやれば静脈還流が滞りなく行えて、浮腫は軽減するのではないか。また、腹部施術により細動脈を中心とした内臓の血管が広がって隅々まで血液が行き渡れば、結果的に頭頚部へ分布する血液は減り、さらに軽減するかもしれないと思ったからだ。しかしそう考えて、結果鼻閉が改善したからといって本当にその通りになったのかはわからない。上手くいったと思いたい。

 施術中や後の鼻閉については、首の角度と姿位による頚部の圧迫などの影響が考えられる。あるいは腹臥位での出現が多いことから、施術枕とフェイスタオルで顔の周りが塞がれて呼吸する空気の温湿度が変化したため、ということもありえる。なんにせよ、他の体位で施術すれば回避できるかもしれない。仰臥位での施術時に改善が多いから腹臥位から始めるのもいいかもしれない。今回は手順を統一するため、体位や順序を変えることはしなかった。

 気になったのは、症状の強いときほど首が硬く弛みにくく、仕事が多忙であったり疲労が強いほど症状も強くなるような印象を受けた。人間は全体で一つとして機能している。ある症状に対して、どこここを施術する、というよりも、いかに基礎的な全身状態の改善ができるかがポイントになるのかもしれない。そういった意味で、頚部の施術が自律神経系へ及ぼす影響だとか、首のとくに後ろ側が弛むと全身の抗重力筋などが弛むことは、全身の調整に役立っているのかもしれない。

  花粉症はⅠ型アレルギーに分類される。以前、Ⅰ型アレルギーは衛生仮説とTH1/TH2のバランスで説明されていた。大まかにいうと、乳幼児期の環境が清潔すぎるとエンドトキシンに触れる機会が減り、TH2が多くなりやすい。TH1とTH2のサイトカインはお互い拮抗して働き、TH2サイトカインはIgE産生を誘導するため、TH2優位だとアレルギーになりやすい、というもの。近年ではTH1/TH2に加え、TH17や制御性T細胞などのバランスやその他サイトカインが関連してくることがわかっている。

  指圧施術がこれらのどこかに影響を与えたのか、それとも前述の基礎的な全身状態が影響したのかわからない。もしアレルギー機序に影響したのならこれはなかなか面白くなってくる。

 今回の論文では症例数が少ないことを考えると、施術と全く関係ない理由で改善した、ということもないとはいえない。そういうことがあるためにできれば症例数は多いほうがいいが、現実にはなかなか難しい。仮に五十症例は欲しいとすると、1回1時間として1日8人ペースでも週6日はかかる。累積効果を見るためにある程度継続して全8〜12回、日常生活の個人差・変動に影響されにくいように受けるペースを週1回とすると、それだけで2〜3ヶ月はほぼ付きっ切りになってしまう。その間の生活や体調管理、被験者のスケジュール調整など考えると、個人ではかなり難しく大きな負担となる。論文を切っ掛けに実際に追試として施術を行っていただけるとありがたい。

 ある程度の集団で施術を行い、その結果を共有できる場を作れないかと思う。個人的にはできれば三桁くらいの症例は最低限欲しいし、追試の結果をフィードバックする場は必要だと思っている。しかし、薬の臨床試験とちがい、施術の方法や技量や刺激量の定量化などが難しい(○○kg重の圧で、などと強さを一定にする試みも見たことがあるが、これには少なくとも二つの問題がある。ひとつは刺激を受ける被験者の身体は同じではないので圧力を一定にするとむしろ強さが異なること、もうひとつはそもそも手技療法とはそういうものではないという根源的なものである。もしそういうものであったならば、マッサージ機器や医療用器具は今よりもっと違った形になっていただろう)。対照群を設定するとしても、偽薬のような物を使うわけにもいかないため、同じ時間ただ横になってもらう、という方法への理解も得にくいだろう。

 折角施術をして論文を書いたのだから多くの人に利用して欲しいし、より改善して良い物ものを作りたい気持ちもある。

 多忙や疲労は広い意味でストレスだが、ストレスとアレルギーの関連で言えば、TH1/TH2のアンバランスな状況をもたらす機序のひとつとして、ストレス刺激が挙げられている1)。 またストレスとの関連疾患では、潰瘍性大腸炎、リウマチ性関節炎(RA)などの自己免疫疾患が挙げられているのは興味深い2)。自己免疫疾患はTH17が自己抗原に反応して異常発達・増殖し、免疫システム全体のバランスが取れなくなった状態とも言われており、ストレスはTH17にも影響しているのかも知れない。

  神経系、内分泌系、免疫系は関連して機能している。ストレスはそれらに対しても影響を与える(ハンス=セリエ、ストレス反応)。人体をひとつのシステムと捉えれば、指圧施術が自律神経系に影響を与えたことで、他のサブシステムである内分泌系や免疫系へも影響を及ぼし、システム全体の機能が調整された、と考えることができる。しかし、起きた出来事はひとつだが説明のしかたは無数にあり、その説明が妥当かどうかはまた別の問題だ。裏付けがないという意味では、指圧で宇宙のパワーを注入しただとか、先祖の祟りが、などというのと変わらない(断っておくが、別に呪術を否定しているわけではない。呪術と医療が同一の時代もあったし、呪や念だとかはそれを扱うのが人間の心だということを考慮するとバカにはできない。ただ現代の医療というカテゴリーには適さないというだけである)。気が云々という説明の仕方もあるが、日本人は“気”というと内容が支離滅裂でも何となく判った気になってしまって納得してしまうところがあるので、使用する場面には話し手・聞き手の双方が注意を払う必要がある。

  指圧の研究やその方法が発展し、体内の変化を上手くモニタリングできれば、より事実に寄り添った説明ができる。煎じ詰めれば五十歩百歩だが、怪しげな理屈をこねなくて済むのは精神衛生上大変よろしい。

引用文献

 1)STEP内科1 神経・遺伝・免疫, 第3版, p.303, 海馬書房, 東京, 2010
 2)トートラ 人体の構造と機能 第2版, p.666, 丸善, 東京, 2008

参考文献

アレルギーは何故起こるか ヒトを傷つける過剰な免疫反応の仕組み 斉藤博久 講談社

 


平成25年度日本指圧学会 冬季学術・実技講習会

「世界に発信しよう、EBMとしての指圧力」

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 来る平成25年12月15日(日)に、日本指圧学会 冬季学術・実技講習会が開催されます。今回は「世界に発信しよう、EBMとしての指圧力」というテーマを設け、午前に論文や症例報告の書き方についての講習会を行います。また午後は3つの実技講習会が行われます。

 会員の皆様は勿論、会員外の方々も当日会員の制度がありますので、是非多数ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。また、本大会の後に、 明大前駅近辺にて懇親会を予定しております 。

【日時】 平成25年12月15日(日) 10:00〜16:30
  10:00〜      受付開始
  10:30〜12:00 学術講習
  13:00〜16:30 実技講習

【学術発表会場】:明治大学和泉総合体育館 講義室
【実技講習会場】:明治大学和泉総合体育館 スポーツルームC(柔道場)

 


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【学術講習会】

  • 「指圧を科学的に解明するための方法論『科学』とは何か?を踏まえて」
     衛藤友親(明治大学体力トレーナー・日本指圧学会副会長)
  • 「症例報告を書くための基礎知識〜病態生理・障害評価の必要性」
     金子 泰隆(日本指圧専門学校 教員)

【実技講習】

  • 「腹部指圧・自在の圧を入れるための構え、下肢から指先まで」
     井上 寿男(いのうえ指圧 院長)
  • 「指圧の前操作講座・新患と向き合うために」
     中盛祐貴子(祐泉指圧治療院 院長)
  • 「訪問マッサージの可能性と脳卒中患者へのアプローチ」
     斉藤浩史(ラクール訪問リハビリマッサージ 院長)

【年会費】
 年2回の学術大会並びに、年3回の実技講習会に参加できます。また学会誌が送付されます。

  •  正会員 :¥10,000
  •  学生会員:¥5,000

【当日会員】
 当日のみの単回参加。

  •  学生  :¥2,000
  •  一般  :¥3,000

平成25年度日本指圧学会 夏季学術大会・実技講習会の開催について

 来る平成25年8月4日(日)に、日本指圧学会 夏季学術大会・実技研修会が開催されます。会員の皆様は勿論、会員外の方々も当日会員の制度がありますので、是非多数ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。また、本大会の後に、 明大前駅近辺にて懇親会を予定しております 。

【日時】 平成25年8月4日(日) 10:00〜16:30
   9:30〜      受付開始
  10:30〜12:00 学術発表
  13:00〜14:30 実技講習(1)金子泰隆
  14:45〜16:15 実技講習(2)井上寿男
  16:15〜16:30 閉会式

【学術発表会場】:明治大学和泉総合体育館 講義室
【実技講習会場】:明治大学和泉総合体育館 スポーツルームC(柔道場)

 


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 【演題/演者】

  • 「東京夢舞いマラソン指圧ボランティアアンケート報告 第2報」
      永井 努(永井指圧治療院 院長)
  • 「アトピー性皮膚炎に対する指圧治療」
     金子 泰隆(日本指圧専門学校 教員)
  • 「大腿後面への指圧施術によるFFDの変化について」
     星野 喬一・日比 宗孝・山本 恭子(日本指圧専門学校 学生)
  • 「熱中症に対する指圧治療」
     月足 弘法(五本木指圧研究所 所長)
  • 「胸部大動脈解離人工血管置換術後の嗄声に対する指圧」
     宮下 雅俊(てのひら指圧治療院 院長)

【実技講習】

  • 「腹部指圧における筋指標について」
     金子 泰隆(日本指圧専門学校 教員)
  • 「腹部指圧、深部へのアプローチ」
      井上 寿男(いのうえ指圧 院長)

 【年会費】
 年2回の学術大会並びに、年3回の実技講習会に参加できます。また学会誌が送付されます。

  •  正会員 :¥10,000
  •  学生会員:¥5,000

【当日会員】
 当日のみの単回参加。

  •  学生  :¥2,000
  •  一般  :¥3,000

平成25年度日本指圧学会 春季学術大が開催されました。

 日本指圧学会は3月31日、明治大学和泉総合体育館講義室にて春季学術大会を、同館柔道場にて実技講習会開催した。花冷えの悪天候にもかかわらず60名の参加者が訪れた。
 総会に先立ち、石塚寛会長(日本指圧専門学校校長・徳島大学名誉教授)より「発表者としての苦労を乗り越えることで得られる充実感がある。症例報告が増える事で新たな道が拓けるので、多くの人に発表の充実感を味わって欲しい。」との挨拶があった。

 症例報告として浮腫に対する指圧の効果(指圧マッサージ指愈 満留伸行氏)、五十肩に対する指圧治療(てのひら指圧治療院 宮下雅俊氏)、アトピー性皮膚炎に対する指圧治療(日本指圧専門学校教員  金子泰隆氏)、アトピー性皮膚炎に対する指圧治療(日本指圧専門学校 千葉優一氏)、結節性紅斑に対するアプローチ(祐泉指圧治療院 中盛祐貴子氏)、尖足に対する指圧治療(五本木指圧研究所 月足弘法氏)、石灰沈着性腱板炎に対する指圧治療(バーディー指圧治療院 金子和人氏)の7題が、基礎研究として、指圧による底背屈力の変化(明治大学体力トレーナー 衛藤友親氏)、仙骨部への指圧刺激が瞳孔直径・脈拍数・血圧に及ぼす効果(日本指圧専門学校 高野良治)の2題、計9題が発表された。

 実技講習では、押圧を安定させる為の四指・手首の使い方(いのうえ指圧 井上寿男)と肩関節のみかたと指圧法(日本指圧専門学校教員 金子泰隆)が行われた。

 会場は終日指圧技術の向上や指圧効果の科学的解明を目指さんとする会員の真摯な眼差しに満ちていた。


日本指圧学会 春季学術大会・実技研修会が開催されます。

来る平成25年3月31日に、日本指圧学会 春季学術大会・実技研修会が開催されます。会員の皆様は勿論、会員外の方々も当日会員の制度がありますので、是非多数ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。また学術大会に先立ち、日本指圧学会総会も行われます。

【日時】 平成25年3月31日(日) 10:00〜17:00
    (受付開始9:30〜、10:00〜総会、10:30〜学術発表)

【学術発表会場】:明治大学和泉総合体育館 講義室
【実技講習会場】:明治大学和泉総合体育館 スポーツルームC(柔道場)


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 【演題/演者】
 「浮腫に対する指圧の効果」 満留 伸行(指圧マッサージ 指愈 院長)
 「五十肩に対する指圧治療」 宮下 雅俊(てのひら指圧治療院 院長)
 「アトピー性皮膚炎に対する指圧治療」金子 泰隆(日本指圧専門学校 教員)
 「アトピー性皮膚炎に対する指圧治療」金子泰 隆、千葉 優一
 「指圧による底背屈力の変化について」 衛藤 友親(明治大学体力トレーナー)
 「結節性紅斑に対するアプローチ」 中盛 祐貴子(祐泉指圧治療院 院長)
 「尖足に対する指圧治療」月足 弘法(五本木指圧研究所 所長)
 「仙骨部への指圧刺激が瞳孔直径・脈拍数・血圧に及ぼす効果」髙野良治(指圧研究会)

【実技講習】
 「押圧を安定させる為の四指・手首の使い方」 井上 寿男(いのうえ指圧 院長)
 「肩関節のみかたと指圧法」 金子 泰隆(日本指圧専門学校 教員)

 【年会費】
 正会員 :¥10,000
 学生会員:¥5,000
(年2回の学術大会並びに、年3回の実技講習会に参加できます。また学会誌が送付されます。)

【当日会員】
 学生  :¥2,000
 一般  :¥3,000
(当日のみの単回参加。)