平成27年度日本指圧学会 夏季学術講習会・実技講習会の開催について

 来る平成27年8月2日(日)に、日本指圧学会 夏季学術講習会・実技講習会が開催されます。会員の皆様は勿論、会員外の方々、学生の方々にも当日会員の制度がありますので、是非多数ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。また、本大会の後に、懇親会を予定しております 。

【日時】 平成27年8月2日(日) 10:00〜17:00
   9:30〜受付開始
  10:00 学術講習
  13:00 実技講習
  17:00 閉会

【学術講習会場】
:明治大学和泉総合体育館 講義室
【実技講習会場】
:明治大学和泉総合体育館 スポーツルームC(柔道場)

 


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【大会テーマ】
「世界に発信しよう、EBMとしての指圧力!!!」

【学術講習会】

・「全身指圧による心理的影響を測定した一例」

大木慎平(ねこのて指圧 院長)

【実技講習会】

・「背部指圧」

井上寿男(いのうえ指圧 院長)

・「指圧師のためのストレッチ講習」
~ トレーナー的観点から ~

衛藤友親(明治大学 体力トレーナー / 日本指圧学会副会長)

【大会ポスター】

2015summer

【入会資格】

  •  正会員 :あん摩マッサージ指圧師、若しくは医療従事者で正会員の推薦があり、役員会にて承認されたもの。
  •  学生会員:あん摩マッサージ指圧師養成施設に学籍を有するもので正会員の推薦があったもの。
  •  賛助会員:この学会の目的に賛同し、事業を援助する個人または団体。

【年会費】
 年2回の学術大会並びに、年3回の実技講習会に参加できます。また学会誌が送付されます。

  •  正会員 :¥10,000
  •  学生会員:¥5,000
  •  賛助会員:一口¥20,000

【当日会員】
 当日のみの単回参加。

  •  学生  :¥2,000
  •  一般  :¥3,000

平成27年度日本指圧学会 総会・春季学術講習会・実技講習会が開催されました

去る平成27年3月22日(日)に、日本指圧学会 総会・春季学術講習会・実技講習会が開催されました。

まだ寒さも残る中、多くの参加者にお越しいただきました。

【午前の部 学術発表】

・「症例報告 指圧治療による姿勢矯正」

新倉玄太(げんた治療院 院長)

・「足底部への指圧刺激が重心動揺に与える影響について」

星野喬一 日比宗孝(日本指圧専門学校 在校生)

午前中の学術発表では、新倉玄太 先生による症例報告「指圧治療による姿勢矯正」と、星野喬一 先生、日比宗孝 先生による「足底部への指圧刺激が重心動揺に与える影響について」の研究発表が行われました。

▼新倉玄太 先生による症例報告

2015spring

新倉 先生の症例報告では、治療の効果をより持続的なものとするための模索から見えてきた手法を、実症例と共に報告いただきました。
押圧操作と運動操作の相互を応用し、軟部組織と骨、関節のアライメントに並行してアプローチする方法論に対して、先生のデモンストレーションも交えつつ活発な質疑応答が持たれました。


▼星野喬一 先生、日比宗孝 先生による研究発表

2015spring

星野 先生、日比 先生の研究発表では、足底部への指圧が身体のバランス機能に及ぼす影響を、重心動揺計を用いた計測により検討した結果を報告いただきました。
第一報ということで研究の中間報告ではありましたが、身体バランスに関しては参加者からの関心も高く、研究に対してのアドバイスなども含め、質疑応答では様々な意見が寄せられました。


【午後の部 実技講習会】

第1講座:「身体重心のコントロールとファシリテーションを患者様と楽しむ方法とは?」
  ~在宅領域で中枢神経疾患の基本動作向上のために指圧師ができること~

中川智之(臥竜の里 訪問リハビリ指圧治療院 院長)

第2講座:「基本指圧を臨床の現場で応用するための方法」

宮下雅俊(てのひら指圧治療院 院長)

午後には、中川智之 先生による「身体重心のコントロールとファシリテーションを患者様と楽しむ方法とは?」と宮下雅俊 先生による「基本指圧を臨床の現場で応用するための方法」の2つの実技講習が行われました。

▼中川智之 先生による実技講習

2015spring 2015spring

中川 先生の講習では理学療法士としての実践を元に、PNFの具体的な実践方法や、無理なく体位変換介助を行う方法などを身体重心の原理、法則の解説を交えながら、分りやすく実演、実習指導いただきました。
また、リハビリの学習効果には反復の頻度、回数が重要であるというお話から展開し、治療家がそういった技術を患者の家族に対しても、手軽に楽しみながら出来るものとして伝えられる知識、技量を持つことの重要性をご教示いただきました。


▼宮下雅俊 先生による実技講習

2015spring

宮下 先生の講習では基本指圧の手順一つにしても、施術の組み立てや狙いに応じて、その意味合いを考え直し意識することにより様々な応用が可能であることを「側腹部掌圧」を例にとり実演、実技指導いただきました。
また、短時間で効果的な施術への応用として、反応が現れやすい治療点と身体変化の組み合わせの具体例をいくつかご教示いただき、参加者もグループワークによる実習でその効果を確認、検討しました。
更には、そういった変化のポイントに注意を払い、考えて行くことからでも、指圧の効果を実証する一つの研究に結び付け得ることが参加者に呼び掛けられました。

皆様のお蔭をもちまして、今年度最初の大会を無事に終えることが出来ました。
次回は、平成27年8月2日の開催を予定しています。奮ってご参加ください。


★今回、日本指圧学会に初参加いただいた、新倉玄太 先生、中川智之 先生より、発表者、講師を務めていただいてのコメントをいただきました!

▼新倉玄太 先生(げんた治療院 院長)より
今回初めて症例報告をさせていただきました。
準備の段階では日々患者様のためにやっていることと発表のためにすることのギャップがあり素材を集めたりプレゼンの構成をすることの難しさを感じました。
緊張しながら当日を迎えましたが、考えていたことや思いを伝えることの楽しさ、会員の方からの質問では自分では気付かなかったことに気づかされました。
アウトプットすることでより深く自分の治療を考えたりすることができてとても貴重でやりがいのある時間を過ごさせていただきました。

▼中川智之 先生(臥竜の里 訪問リハビリ指圧治療院 院長)より
理学療法士のリハビリテーションの視点で、指圧師の領域では、なかなか学ぶ機会の少ない在宅領域のことについて実技を交えながらお話させて頂きました。
学会では受講されていた先生方から「目からウロコでした!」と前もって先生方が打ち合わせされていたかのように言って下さり大変嬉しく思っております。
これから、今回学ばれた身体重心や支持基底面、床半力を意識した誘導、エクササイズ、残存機能を活かした介護法、そして指圧をして患者様、ご家族様に喜んで頂ければ幸いです。
ありがとうございました。
また、定期的に在宅リハビリテーションに関する勉強会『あすなろ在宅リハビリマッサージ研究会』も行っていますので、気軽にお声がけください。


平成27年度日本指圧学会 総会・春季学術講習会・実技講習会の開催について

 来る平成27年3月22日(日)に、日本指圧学会 総会・春季学術大会・実技講習会が開催されます。会員の皆様は勿論、会員外の方々、学生の方々にも当日会員の制度がありますので、是非多数ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。また、本大会の後に、懇親会を予定しております 。

【日時】 平成27年3月22日(日) 10:00〜17:00
   9:30〜受付開始
  10:00 総会
  10:30 学術発表
  13:00 実技講習
  17:00 閉会

【学術発表会場】
:明治大学和泉総合体育館 講義室
【実技講習会場】
:明治大学和泉総合体育館 スポーツルームC(柔道場)

 


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【大会テーマ】
「世界に発信しよう、EBMとしての指圧力!!!」

【学術発表】

・「症例報告 指圧治療による姿勢矯正」

新倉玄太(げんた治療院 院長)

・「足底部への指圧刺激が重心動揺に与える影響について」

星野喬一 日比宗孝(日本指圧専門学校 在校生)

【実技講習会】

第1講座:「身体重心のコントロールとファシリテーションを患者様と楽しむ方法とは?」
  ~在宅領域で中枢神経疾患の基本動作向上のために指圧師ができること~

中川智之(臥竜の里 訪問リハビリ指圧治療院 院長)

第2講座:「基本指圧を臨床の現場で応用するための方法」

宮下雅俊(てのひら指圧治療院 院長)

※第1講座ではタオルを使用いたしますのでご持参ください。

【大会ポスター】

2015spring

【入会資格】

  •  正会員 :あん摩マッサージ指圧師、若しくは医療従事者で正会員の推薦があり、役員会にて承認されたもの。
  •  学生会員:あん摩マッサージ指圧師養成施設に学籍を有するもので正会員の推薦があったもの。
  •  賛助会員:この学会の目的に賛同し、事業を援助する個人または団体。

【年会費】
 年2回の学術大会並びに、年3回の実技講習会に参加できます。また学会誌が送付されます。

  •  正会員 :¥10,000
  •  学生会員:¥5,000
  •  賛助会員:一口¥20,000

【当日会員】
 当日のみの単回参加。

  •  学生  :¥2,000
  •  一般  :¥3,000

平成26年度日本指圧学会 臨時総会・冬季学術講習会・実技講習会が開催されました

 去る平成26年12月14日(日)に、日本指圧学会 臨時総会・冬季学術講習会・実技講習会が開催されました。

 冷え込みも厳しく、年末の忙しい時期での開催でしたが、今回も多くの参加者にお越しいただきました。

 午前中の学術発表では、黒澤一弘 先生によるロコモティブシンドローム予防に関しての研究発表が行われました。
丹念にまとめられた研究資料をもとに、ロコモの概念、評価法といった基礎知識から、
心理面へのアプローチを含む介入プログラムであるTTM(トランスセオレティカル・モデル)の紹介まで、運動療法に関与する指圧師にとっても必要となってくる知識を横断的にご教示いただきました。

 午後には、高岩信好 先生による回復期のリハビリをテーマとした実技講習が行われました。
 参加者にグループワークで症例検討させる形で進められ、高岩先生の明るく楽しい導きと、参加者の真剣な取り組みにより、これまでの手技中心の講習とは一味違ったインタラクティブな学びの場となりました。
 「垂直、持続、集中」という指圧の三原則を活かし、患者自身による自己指圧をリハビリに取り入れるという高岩先生の斬新な実践の報告には皆が唸らされました。
 また、運動療法に関しては個々の患者を多面的、総合的によく見つめ、それに応じてリスクも含めて計画的に考えて行くことの大切さが示され、午前中の黒澤先生の発表とも連動するような形で会全体を通して大きくまとまったテーマに参加者が向き合えたものと思われます。

 皆様のお蔭をもちまして、年内最後の大会を無事に終えることが出来ました。
 次回は来年、平成27年3月22日の開催を予定しています。奮ってご参加ください。


平成26年度日本指圧学会 臨時総会・冬季学術講習会・実技講習会の開催について

 来る平成26年12月14日(日)に、日本指圧学会 臨時総会・冬季学術講習会・実技講習会が開催されます。会員の皆様は勿論、会員外の方々、学生の方々にも当日会員の制度がありますので、是非多数ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。また、本大会の後に、懇親会を予定しております 。

*注:当初の予定より会場が変更となりましたので、ご注意下さい。

【日時】 平成26年12月14日(日) 10:00〜17:00
   9:30〜      受付開始
  10:00 開会
  17:00 閉会

【会場】:日本指圧専門学校本校舎(旧校舎)3階基礎医学実習室

 

 

【大会テーマ】
「世界に発信しよう、EBMとしての指圧力!!!」

【学術講習会】

・ロコモティブシンドローム予防のために~運動実践へ向けたトランスセオレティカルモデル (TTM) の活用~

日本指圧専門学校教務 黒澤 一弘

【実技講習会】

・歩行立脚期支持性向上を目的とした運動療法と二重課題が不得意で転倒リスクある方への指圧の臨床応用の紹介

医療法人 健和会柳原リハビリテーション病院 高岩 信好

【大会ポスター】

2014winterPos

【入会資格】

  •  正会員 :あん摩マッサージ指圧師、若しくは医療従事者で正会員の推薦があり、役員会にて承認されたもの。
  •  学生会員:あん摩マッサージ指圧師養成施設に学籍を有するもので正会員の推薦があったもの。
  •  賛助会員:この学会の目的に賛同し、事業を援助する個人または団体。

【年会費】
 年2回の学術大会並びに、年3回の実技講習会に参加できます。また学会誌が送付されます。

  •  正会員 :¥10,000
  •  学生会員:¥5,000
  •  賛助会員:一口¥20,000

【当日会員】
 当日のみの単回参加。

  •  学生  :¥2,000
  •  一般  :¥3,000

平成26年度日本指圧学会 夏季学術大会・実技講習会が開催されました

 去る平成26年8月3日(日)に、日本指圧学会 夏季学術大会・実技研修会が開催されました。

 東京でも連日の猛暑日の中での開催にも関わらず、過去最多ともなる参加者にお越しいただきました。

 午前中の学術発表では、衛藤友親 先生によるウマを対象とした指圧という大変インパクトのある研究発表をはじめ、
佐々木良 先生、石塚洋之 先生による動的アライメントの評価をテーマとした研究発表、
大木慎平 先生による指圧の視力への効果に関して、眼球の焦点調節力に着目した研究発表、
金子泰隆 先生による症状と理学的検査結果が矛盾を示した臨床例で、指圧の効果が見られたという臨床報告と、今後の指圧の学術的研究の多様な広がりの道筋を示す様な、意欲と可能性に富んだ発表が行われました。

 午後の実技講習会では、井上寿男 先生には、「頸部の筋、頸椎を整えて全身を調整する頸部指圧。肩こり、五十肩の臨床指圧」というテーマで、指圧の手技の中で最も習得が難しいと言われている頸部への指圧を中心に講習していただきました。
 金子泰隆 先生には、「下肢の痺れに対する指圧法」というテーマで、骨盤のアライメントに関して、単に前傾、後傾ということに止まらない、仙腸関節レベルの評価も含めた捉え方、調整方法を中心に講習していただきました。
 それぞれの先生のポイントを押さえた実演により、立所に現れる被術者の体や動きの変化に感心しつつ、参加者も、参加者同士、また先生方の指導を仰ぎながら実技の練習に励みました。

 集中した時間の中で、参加者がそれぞれの実技のレベルアップや、今後の取り組みに役立つヒントを得られたものと思われます。

 皆様のお蔭をもちまして、大盛況の内に今回の大会は幕を閉じることが出来ました。  次回も奮ってご参加ください。


平成26年度日本指圧学会 夏季学術大会・実技講習会の開催について

 来る平成26年8月3日(日)に、日本指圧学会 夏季学術大会・実技研修会が開催されます。会員の皆様は勿論、会員外の方々、学生の方々にも当日会員の制度がありますので、是非多数ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。また、本大会の後に、明大前駅近辺にて恒例の懇親会を予定しております 。

【日時】

 平成26年8月3日(日) 10:00〜17:00
   9:30〜      受付開始
  10:00〜12:00 学術発表
  13:00〜16:45 実技講習
  16:45〜17:00 閉会式

【学術発表会場】

:明治大学和泉総合体育館 講義室

【実技講習会場】

:明治大学和泉総合体育館 スポーツルームC(柔道場)

 


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【学術大会テーマ】
「世界に発信しよう、EBMとしての指圧力!!!」
【学術大会 演題/演者】

・顔面部への指圧刺激による調節近点距離の変化

東京医療福祉専門学校教員養成科 大木慎平

・指圧による膝動的アライメントテストへの影響

MTA 指圧治療院 佐々木良
日本指圧専門学校教員 石塚洋之

・ウマを対象とした前頸部指圧による心拍数の変化

明治大学体力トレーナー 衛藤友親

・下肢の痺れに対する指圧療法の効果

日本指圧専門学校教員 金子泰隆
【実技講習】

・頸部の筋、頸椎を整えて全身を調整する頸部指圧。肩こり、五十肩の臨床指圧

いのうえ指圧 院長 井上寿男

・下肢の痺れに対する指圧法

日本指圧専門学校教員 金子泰隆
【大会ポスター】

2014summerPos1 2014summerPos2

【年会費】

年2回の学術大会並びに、年3回の実技講習会に参加できます。また学会誌が送付されます。

  •  正会員 :¥10,000
  •  学生会員:¥5,000
【当日会員】

当日のみの単回参加。

  •  学生  :¥2,000
  •  一般  :¥3,000

平成26年度日本指圧学会 春季学術・実技講習会

「世界に発信しよう、指圧業界の底力!!」

 来る平成26年3月9日(日)に、日本指圧学会 春季学術・実技講習会が開催されます。午前に研究発表並びに症例報告を行います。また午後は2つの実技講習会が行われます。

 会員の皆様は勿論、会員外の方々も当日会員の制度がありますので、是非多数ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。また、本大会の後に、 明大前駅近辺にて懇親会を予定しております 。

【日時】 平成26年3月9日(日) 9:30〜17:00
   9:30〜      受付開始
  10:00〜10:30 指圧学会総会
  10:30〜12:00 学術発表

  13:00〜17:00 実技講習

【学術発表会場】:明治大学和泉総合体育館 講義室
【実技講習会場】:明治大学和泉総合体育館 スポーツルームC(柔道場)

 


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【学術発表】

  • 「下腿後面における指圧刺激によるFFDの数値変化」
     星野 喬一, 日比 宗孝(日本指圧専門学校)
  • 「老人性難聴に対する指圧治療」
     相澤真有美(日本指圧専門学校)

【実技講習】

  • 「足関節・足部評価 leg-heel-alignment 〜 Kinetic Chain」
     石塚 洋之(日本指圧専門学校 専任教員)
  • 「手の総指伸筋の随意性を促す手技」
     斉藤浩史(ラクール訪問リハビリマッサージ 院長)

【年会費】
 年2回の学術大会並びに、年3回の実技講習会に参加できます。また学会誌が送付されます。

  •  正会員 :¥10,000
  •  学生会員:¥5,000

【当日会員】
 当日のみの単回参加。

  •  学生  :¥2,000
  •  一般  :¥3,000

糖尿病、高脂血症、高血圧症に 合併した浮腫に対する指圧の効果:満留伸行

満留 伸行
指圧マッサージ 指愈 -Yubiyu- 院長

Effectiveness of shiatsu against concomitant edema with diabetes,
hyperlipidemia and hypertension: a case report

Nobuyuki Mitudome*

Abstract :The number of elder patients with diabetes, hyperlipidemia and hypertension has been demonstrating an upward trend especially in recent years. This case, a 81 year old female patient, was diagnosed with diabetes, hyperlipidemia and hypertension, and she has been on medication since then. These diseases have been stabilized by medication. Meanwhile, edema of lower extremities was gradually getting prominent. Aiming at ease of the edema, she has been continuously treated by shiatsu since July, 2011. As a result, the treatment has been providing symptomatic relief. This is a case report indicating that continuous shiatsu treatment may contribute to ease and prevent edema.


 

I.はじめに

 浮腫とは、毛細血管内腔から皮下組織内に間質液が過剰に貯留した状態のことをいい、おもに全身性浮腫と局所性浮腫に大別される。

 全身性浮腫は、おもに心臓、腎臓、肝臓などの内臓疾患や甲状腺ホルモンの分泌異常、その他リウマチや膠原病、アレルギー、薬剤などによって生じ、左右対称にむくみが出現する。局所性浮腫は、おもに静脈およびリンパ管の輸送経路に障害が起きるために生じ、左右非対称に出現する。

 現代医学的アプローチとして、全身性疾患(心臓、腎臓、肝臓など)が原因であれば、専門の医師による原因疾患の治療を優先することが必要であり、浮腫が残る場合などに、圧迫療法が用いられている。

 また局所性リンパ浮腫は、圧迫療法や徒手的リンパドレナージを中心とする複合的理学療法(スキンケア、圧迫下での運動療法などが含まれる)が用いられている1)

 今回の女性患者は、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧の薬剤治療を始めた頃と同時期より、下肢に浮腫が表れはじめた。顔面や腹部など、全身に浮腫がみられるが、特に両下肢に強い浮腫が出ている。

 今回、指圧療法を行ったことで、浮腫症状の軽減が確認できたため、その症例を報告する。

 

II.対象及び方法

場所:指圧マッサージ 指愈 −Yubiyu−

期間:2011年7月25日〜2012年6月29日
(1週間〜10日に1回の間隔で定期的に施術)

2012年7月以降は、月1〜2回の間隔(不定期)で施術。

施術対象:81歳 女性

[現病歴]

 2005年頃より、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧と診断され、当時より薬物療法を続けている。投薬により各疾患の状態は安定しているが、服用を開始した頃より、徐々に下肢に強い浮腫が出現するようになった。投薬後の浮腫出現について、医師は承知をしているが、これまでに浮腫に対する治療は行っていない。現在は、整形外科通院による週一回程度の運動療法を行っているが、浮腫症状に変化はみられない。

 何年も、サンダルと大きいサイズの靴しか履けていないため、下駄箱に長い期間置いてある靴が、また履けるようになりたいとの理由により、当院にて指圧療法を受けることになった。

[既往歴]

  • 変形性膝関節症との診断を受けており、歩行痛や動作開始痛がある。
  • 心窩部に不快感があり、逆流性食道炎がある。

[使用薬](現在も処方)

  • アマリール錠
    (スルホニルウレア系経口血糖降下剤)
  • アクトス錠
    (インスリン抵抗性改善剤)
  • ジャヌビア錠
    (選択的DPP-4阻害剤, 糖尿病用剤)
  • カデュエット配合錠
    (持続性Ca拮抗薬, HMG-CoA還元酵素阻害剤)
  • ブロプレス錠
    (持続性アンジオテンシンII受容体拮抗剤)
  • リピトール錠
    (HMG-CoA還元酵素阻害剤)
  • パリエット錠
    (プロトンポンプ阻害剤)

[家族歴]

  • 特記すべき事項なし

[自覚所見]

  • 下肢がむくむ。
  • 膝の痛み(変形性膝関節による歩行痛や動作開始痛がある)。
  • 心窩部に不快感あり(逆流性食道炎がある)。
  • 腹部膨満感がある。

[診察所見]

  • 下肢(特に下腿)に強い浮腫がみられる。また顔面や腹部などにも軽度の浮腫がみられる。
  • 下腿皮膚に硬さを強く感じる。
  • 圧痕性テスト(下腿)(+)。
  • 下肢押圧時につねられたような、また皮膚をひっぱられるような痛み(チクチク)が出る。
  • 大腿骨内側顆付近に大腿骨外旋時に膝の痛みが出る。
    (変形性膝関節による膝の痛み(左 < 右))
  • 両鼡径部に硬さがみられる。

[その他]

  • 食習慣(自炊はあまりせず、購入や外食が多い)。
  • 日常的にあまり歩かずに椅子に座っていることが多い。

[治療方法]

 横臥位および仰臥位における浪越式基本指圧点2)(伏臥位での施術は息苦しくなるため行わなかった)。全身の指圧操作を60分。そのうち下肢への指圧操作を約30分程度行う。

 下肢の施術は、押圧操作時に痛みを感じる部位を重点的に、母指圧、対立圧、掌圧を用いて、患者の反応を見ながら、やや軽めの圧によるゆったりとしたリズム(持続圧を含む)にて施術を行った。

 特に鼡径部、大腿内側部、膝関節周囲部、膝窩部、下腿外側部、下腿後側部、下腿内側部、足関節部、足背部、足趾部の押圧操作時に痛みを感じた。

※ 下腿内側部は浪越式指圧の基本圧点ではないが、圧痛が認められたこと、ならびに後脛骨動静脈などの走行を考慮し治療点として加えた。

 

図1.下肢の基本圧点分布図

図1.下肢の基本圧点分布図
(但し下腿内側部は、◎圧痛点 として記載)

III.結果

[治療経過]

■第1回目(2011年7月25日)

■第2回目(2011年8月3日)

 第1回、第2回の施術は、患者の希望により、下肢のみを30分間施術。

  • 自覚症状の変化:効果はほとんどみられず。
  • 他覚症状の変化:下腿の浮腫及び皮膚の硬さの変化はほとんどみられず。

■第3回目(2011年8月12日)【図2】

 今回より全身指圧の有効性を説明の上、全身60分の浪越式基本指圧に切り替える。

  • 自覚症状の変化:効果はほとんどみられず。
  • 他覚症状の変化:下腿の浮腫及び皮膚の硬さの変化はほとんどみられず。
     (第10回頃まで、施術後の変化はあまりみられず)
図2.2011年8月12日(第3回施術後)/(全身指圧に切り替え1回目) 下腿、足関節、足背、足趾部全体に浮腫、足趾部にしわがみられる。

図2.2011年8月12日(第3回施術後)/(全身指圧に切り替え1回目)
下腿、足関節、足背、足趾部全体に浮腫、足趾部にしわがみられる。

■第11回目(2011年10月26日)

  • 自覚症状の変化:効果はほとんどみられず。
  • 他覚症状の変化:これまでより、足関節にわずかながら浮腫及び皮膚の硬さの改善がみられた。

■第16回目(2011年12月12日)【図3】

  • 自覚症状の変化:これまでに比べ浮腫の改善がはっきりみられるようになった。
  • 他覚症状の変化:足関節、足背、足趾部に浮腫の改善(特に右に)がみられる。皮膚表面にすべすべとした感じがある。
     (その後の施術も同様の状況を繰り返すものの、軽減後の浮腫への戻りが早い)

 

図3.2011年12月12日(第16回施術後) 右足関節、足背部、足趾部に 浮腫の軽減がみられ、皮膚表面にすべすべとした感じが出てきた。

図3.2011年12月12日(第16回施術後) 右足関節、足背部、足趾部に
浮腫の軽減がみられ、皮膚表面にすべすべとした感じが出てきた。

■第25回目(2012年2月24日)

  • 自覚症状の変化:夕方になると強く浮腫が出ることがある。以前に比べて施術時の痛み(チクチクした痛み)が軽減されてきている。
  • 他覚症状の変化:これまでと同様に施術前と施術後に浮腫の改善がはっきりみられる。
    (日によって浮腫症状が以前のように強くみられることがあり、安定しないとのこと)

■第34回目(2012年5月14日)

  • 自覚症状の変化:これまで以上に足がすっきりしている。施術時の痛み(チクチクした痛み)がかなり軽減された。浮腫軽減後から、再出現するまでの時間も以前に比べ長くなっている。
  • 他覚症状の変化:浮腫の改善及び、下腿皮膚の硬さが軽減された。下肢のみでなく、顔面、腹部の浮腫も改善されてきた。

■第38回目(2012年6月29日)【図4】

  • 自覚症状の変化:施術後の浮腫の改善が著しくみられるようになった。しばらく履くことができなかった靴が履けるようになった。
  • 他覚症状の変化:今までよりあきらかに、浮腫の症状が軽減されている。皮膚の硬さが改善され、柔らかくなっている。膝の痛み(大腿骨内側顆付近)も軽減されている。
     (今回にて継続的な施術(約1週間〜10日に1回の施術)は終了)
図4.2012年6月29日(第38回施術後) 左右の下腿、足関節、足背、足趾部ともに 浮腫の軽減がみられ、足趾部のしわも改善。見た目の浮腫が気にならなくなった。

図4.2012年6月29日(第38回施術後) 左右の下腿、足関節、足背、足趾部ともに
浮腫の軽減がみられ、足趾部のしわも改善。見た目の浮腫が気にならなくなった。

□第45回目(2012年10月17日)【図5〜7】

 2012 年7 月以降は、不定期(月1〜 2 回の施術)間隔にて来院。前回施術時(第44 回目(2012 年9 月21 日))より約1ヶ月後に来院された際、最近の中では浮腫が強く出てしまった。

足関節、足背、足趾に浮腫がみられ、足趾部のしわも強く出ている。圧痕性テスト(+)(写真参照)。皮膚の状態は柔らかく、水っぽい(来院当初の硬さとは異なる)。

 一度の指圧施術にて、施術前、施術後の違いがあきらかにみられた(浮腫変化の評価に用いる下肢周囲径の計測は行っていない)。

図5.施術前:下腿、足関節、足背、足趾部に浮腫が強くみられる。

図5.施術前:下腿、足関節、足背、足趾部に浮腫が強くみられる。

図6.施術前:下腿外足部  圧痕性テスト(+)

図6.施術前:下腿外足部  圧痕性テスト(+)

図7.施術後:下腿、足関節、足背、足趾部ともに浮腫の改善がみられた。

図7.施術後:下腿、足関節、足背、足趾部ともに浮腫の改善がみられた。

IV.考察

 浮腫に対する指圧施術により、浮腫が軽減され、また施術時の痛みも軽減することを確認できた。また、浮腫の軽減によって、しばらくの間履いていなかった靴が履けるようになり、見た目を気にせずに歩くことができるようになった。

 本症例における浮腫の原因の一つとして、浮腫発生時期と同時期より、糖尿病、高脂血症、高血圧の治療で継続的に処方されている薬剤そのものによる浮腫が考えられる3)。服用している糖尿病、高脂血症、高血圧の治療薬には、副作用の一つとして浮腫症状が挙げられている4)5)

 また、変形性膝関節症に伴う歩行痛や動作開始痛により、日常的に十分な歩行ができずに下腿の筋力が低下し、血液を心臓に送り返している筋ポンプ機能の低下によって、静脈、リンパ還流障害の一つである廃用性浮腫が生じたことも推察される。あわせて食習慣における食塩の摂取過多により、浮腫を悪化させていることも考えられる。そのため、今回のケースは一つの原因ではなく、複数の原因が重複することによって症状の発現がみられた症例であると推測する。

 現在、超高齢化社会の日本においては、特に高齢者の糖尿病、高脂血症、高血圧患者は増加傾向6)7)を示しており、今回のような様々な原因が複合して生じる浮腫形成が行われる可能性は十分に考えられ、それに伴い患者のQOLが低下することは予測可能である。

 本症例では、初診および2回目の治療は、下肢への局所施術で対応したが、原因が多岐にわたることが考えられるため、全身調整を行うことが効果的であるとの判断から、浪越式指圧療法を基本とした全身指圧に切り替えた。これは末梢循環が局所の柔軟性だけではなく、自律神経系の調整を受けていることを反映させたためである。

 今回、経過を追う中で15回目の施術までは顕著な効果が確認できなかった。これは下腿の皮膚に強い硬さがみられたことから推測すると、浮腫症状が長期間続いたことにより、皮膚での物質代謝が滞り、組織の線維化によって硬化が生じていたためであると  考えられる。

 16回目以降の施術により、自覚的にも他覚的にも症状が改善されてきたことは、硬化した皮膚の柔軟性が向上し、それに伴って末梢循環が改善されたことがその一因になると考えられる。

 しかし、浮腫軽減が表れはじめた後にも、浮腫の戻りが早い期間が続いたこと、また日によって浮腫症状が強くみられるなど不安定な期間が続いたことは、薬物療法の継続的な処方により浮腫の出現が続いていること、あるいは指圧による直後効果が長期間続かないことを示していると考えることができる。

 その点を考えると、継続した指圧療法を受ける意味が少ないと思われるかもしれないが、34回目以降、回を重ねるごとにさらに浮腫が軽減していることや、軽減後に浮腫が再出現するまでにかかった時間が徐々に長くなっていったこと、そして第45回目の来院時に出現した強い浮腫が一回の施術で軽減した点などを考えると、継続した指圧施術が十分に継続効果を期待できる治療法であることを示唆している。

 本症例で浮腫が改善したこと、ならびに膝の痛みが軽減したことは確認できたが、その作用機序は不明な点も多い。しかしながら、蒲原ら8)が、指圧刺激が交感神経活動抑制に作用し筋血液量増大が起こったことならびに浅井ら9)、菅田ら10)、衛藤ら11)が指圧刺激によって筋の柔軟性が向上したことなどを報告していることから、自律神経系の調整作用による血流改善や筋の柔軟性向上などにより末梢循環が改善されたことで浮腫が軽減したことが考えられる。

 そのため、指圧刺激を全身に加える指圧療法において、本症例のような複数の原因が重複して生じた浮腫に対してもその効果が発揮されていることが考えられ、患者のQOLに対しても貢献できる可能性があると考えられる。さらに、糖尿病、高脂血症、高血圧などの薬物療法における副作用軽減の観点から、これらの疾患の治療に指圧療法が貢献できる可能性も示している。

V.結論

 指圧療法によって浮腫症状の軽減に効果を上げる事が確認できた。また浮腫症状の軽減後も継続的な指圧療法が症状の予防に有効である可能性があることが確認できた。

VI.参考文献

1) 小川佳宏:むくみで困ったときに読む本p.34-36, 84-88 保険同人社,東京,2010
2) 石塚 寛:指圧療法学 -改定第1版- p.160, 162,164,172-173,178,182,国際医学出版,東京,2010
3) 日本臨床検査医学会:臨床検査のガイドライン(JSLM2012) ,p.85(図2浮腫の確定診断の進め方),東京,2012
4) 医薬制度研究会:大改訂 医者からもらった薬がわかる本 第28版, p.670, 828, 993, 1000,東京,2012
5) 小林輝明 監修:くすり事典2013年版 成美堂出版,p.420, 504, 957, 989,東京,2012
6) 厚生労働統計協会:厚生の指標 増刊 国民衛生の動向(2012/2013 vol.59  NO.9),p.84-87,東京,2012
7) 厚生労働統計協会:平成23年度 厚生統計要覧, p.142,143,東京,2012
8) 蒲原秀明 他:末梢循環に及ぼす指圧刺激の効果,東洋療法学会協会学会誌,(24),p.51-56 ,2000
9) 浅井宗一 他:指圧刺激による筋の柔軟性に対する効果,東洋療法学会協会学会誌,(25)p.125-129 ,2001
10) 菅田直紀 他:指圧刺激による筋の柔軟性に対する効果(第2報),東洋療法学会協会学会誌,(26), p.35-39 ,2002
11) 衛藤友親 他:指圧刺激による筋の柔軟性に対する効果(第3報),東洋療法学会協会学会誌,(27), p.97-100 ,2003


【要旨】

糖尿病、高脂血症、高血圧症に合併した浮腫に対する指圧の効果
満留 伸行

 近年、特に高齢者の糖尿病、高脂血症、高血圧患者は増加傾向を示している。本症例(81歳、女性)では、2005年頃より、糖尿病、高脂血症、高血圧と診断され、当時より薬物療法を続けている。投薬にて各疾患の状態は安定しているが、服用を開始した頃より、徐々に下肢に強い浮腫が出現するようになった。2011年7月以降から、浮腫症状の軽減を目的に、継続的に指圧療法を行ったところ、症状の軽減が認められた。継続的な指圧療法が、浮腫症状の軽減および予防に貢献できる可能性が確認できたので、その症例を報告する。

キーワード:浮腫、糖尿病、高脂血症、高血圧、薬物療法、指圧


 


指圧による底背屈力の変化について:衞藤友親

衞藤 友親
明治大学体力トレーナー

Plantar and dorsal flexion strength changes caused by Shiatsu

Tomochika Etou

Abstract :Effects of the lower extremity shiatsu on muscle strength of plantar and dorsal flexion were investigated using an isokinetic strength measuring equipment. Compared to a group without shiatsu treatment, muscle strength change of a group with shiatsu was decreased at the points of immediately after exercise and five minutes later when plantarflexing 180 degree / sec. This result indicates that shiatsu may have improved output controllability of muscles.


I.緒言

 マラソン大会参加者を対象に行ったアンケート調査1)の結果、下腿部の疲労・痛みを自覚する人の割合が多い傾向にあった。

 そこで本研究では、運動後の下腿部へ指圧を施すことにより足底背屈力にどのような変化が表れるのかを観察した。

II.方 法

1.対象

 健康成人7名(男性2名・女性5名)

 年齢22歳から40歳(平均29歳)

2.実験期間

 2013年1月21日から2月1日

3.場所

 明治大学和泉総合体育館測定室A

4.環境

 室温24±2.0℃,湿度45±5%

5.測定機器

 メディカ社製筋機能運動解析装置(CYBEX NORM)及び制御解析ソフト(HUMACシステム)

6.手順

 被験者をトレッドミルにて時速4kmで30秒間歩行させ、続けて時速8kmで4分間走行させ、再び時速4kmで30秒間歩行させた。計5分間運動させた。

 運動直後と運動5分後に底背屈力を左足、右足の順で測定した。測定時の体位は仰臥膝90°屈曲とした。7名を、最初の期間には運動後5分間安静にしてから測定した。安静時の体位は下腿指圧時に準じ伏臥3分間、体位変換30秒、仰臥1分30秒の5分間とした。

 次の期間には運動後5分間両下腿部に指圧を施した。指圧部位と方法は浪越式基本指圧で、下腿後側8点3回、下腿大掴み6点3回、下腿前側6点3回2)を1点につき2秒の押圧で行った。7名の両期間(両群)の運動直後から5分後の底背屈力の変化を比較した。

 120deg/secの等速性筋力発揮による底背屈を3往復と180deg/secの等速性筋力発揮による底背屈20往復のピーク値を底屈・背屈各々の左右とも記録し、180deg/secに関しては総仕事量も記録した。

7.解析

 運動後と安静後および運動後と指圧後の各速度・左右の値の変化量について対応あるt検定を行った。有意水準は危険率7%未満(P< 0.07)とした。

III.結果

 120deg/sec底屈および背屈のピーク値と180deg/secの背屈ピーク値並びに底屈および背屈の総仕事量では運動後と5分後の変化量に有意差はみられなかった。(図1,2,4,5,6)

 180deg/sec底屈ピーク値で運動後と5分後の変化量に有意差がみられた。(図3)

図1. 120deg/sec 底屈ピーク値の変化量の比較

図1. 120deg/sec 底屈ピーク値の変化量の比較

図2. 120deg/sec 背屈ピーク値の変化量の比較

図2. 120deg/sec 背屈ピーク値の変化量の比較

図3. 180deg/sec 底屈ピーク値の変化量の比較

図3. 180deg/sec 底屈ピーク値の変化量の比較

図4. 180deg/sec 背屈ピーク値の変化量の比較

図4. 180deg/sec 背屈ピーク値の変化量の比較

図5. 180deg/sec 底屈総仕事量の変化量の比較

図5. 180deg/sec 底屈総仕事量の変化量の比較

図6. 180deg/sec 背屈総仕事量の変化量の比較

図6. 180deg/sec 背屈総仕事量の変化量の比較

IV.考察

 無指圧群と比べて指圧群の運動後の数値が高かった。これは無指圧群の測定を行った期間が指圧群の測定に先行したため、学習効果が表れた可能性が高い。

 よって値そのものの比較は行わず、運動後の数値から無指圧群、指圧群ともに5分後の数値を減じた値を比較することとした。過去の研究例3,4)から指圧後に身体の左右を計測した場合、左右が各々その機能を補完するようにふるまう傾向が観察されているため、今回は数値の変化量そのものを比較した。即ち運動後の値から各々5分後の値を減じた値の絶対値を各群間の変化量として検定した。

 このため本研究では指圧後の変化量の小ささ、即ち運動後の状態をどれだけ保てたかを評価している。問題のある手法であると考えるが、過去の研究データが再評価され得る可能性の観点から敢えて試みた。

 片平は下腿部スポーツ障害経験群と未経験群を比較すると、経験群で底屈力が強い特徴があることを報告5)しているが、本研究では底背屈力のバランスが改善されるような結果は得られなかった。しかし、180deg/secの20反復という低負荷高回数の運動に於いて、指圧群が無指圧群と比較して運動後の筋力発揮を維持するようにふるまう現象が観察された。換言すれば、指圧により比較的小さな筋力発揮を繰り返す動作に於いて安定した出力が得られたこととなる。

 機序として①指圧が、速動性NMUと持続性NMU6)に何らかの効果を及ぼし筋力発揮に差が出た可能性と②指圧により筋の局所血液量が増大7)した結果、ヒラメ筋内のミオグロビンの酸素含有量が増大し、安定した筋力発揮に寄与した可能性と③その両方、が挙げられるが、推察の域を出ないので今後の研究課題としたい。

 また、運動前の指圧が競技パフォーマンスを向上させる可能性8)とも併せてスポーツ指圧の可能性を探りたい。

V.結論

 運動負荷を与えた下腿部への指圧により、運動前後の180deg/sec底屈ピーク値変化量が減少した。

VI.引用文献

1) 衞藤友親他:東京夢舞いマラソン指圧ボランティア報告:日本指圧学会誌(1) ,p.33,2012
2) 浪越徹:普及版完全図解指圧療法第5刷p.78-79, p.90,日貿出版,東京,2001
3) 菅田直記他:指圧刺激による筋の柔軟性に対する効果(第2報):東洋療法学校協会学会誌,(26), p.35-39, 2002
4) 田附正光他:指圧刺激による脊柱の可動性及び筋の硬さに対する効果,東洋療法学校協会学会誌(28) , p.29-32, 2004
5) 片平誠人:長距離ランナーの下腿部スポーツ障害と内在因子の関係:福岡大学紀要(49)第5分冊p.7-19, 2000
6) 真島英信:生理学第18版,p.271-272, 文光堂, 東京,1990
7) 蒲原秀明他:末梢循環に及ぼす指圧刺激の効果:東洋療法学校協会学会誌(24), p.51-56, 2000
8) 石塚洋之:ビーチフットボール競技における指圧認知度調査報告, 日本指圧学会誌(1)p.24-26, 2012


【要旨】

指圧による底背屈力の変化について
衞藤 友親

 運動後の下腿部への指圧により、足底背屈動作の筋力発揮にどのような変化をもたらすのかを等速性筋力測定器を用いて調べた。指圧を行わなかった群と比較して、180deg/sec底屈動作時に運動直後と5分後の筋力変化量が減少した。この結果、指圧により筋出力の調整力が向上されている可能性が示唆される。

キーワード:下腿部指圧、足底背屈、等速性筋収縮